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粒子線治療装置

 粒子線治療装置とは、体内深い腫瘍まで粒子を集中させて照射する装置である。そのためには体内深くまで粒子が届くように加速し、なおかつ可能な限り正常細胞には影響しないようにする機能が必要である。


システム構成

 粒子線治療装置本体は、
1. イオンビームを予備加速する入射系(イオン源、RFQ, DTL)
2. 入射系からビームを入射し、治療に適合したエネルギーまでビームを加速するシンクロトロン
3. 加速したビームを指定された照射室に効率良く導く高エネルギービーム輸送 (HEBT)系
4. 供給されたビームを腫瘍に適正に照射する照射系、及び
5. 粒子線治療装置の調整、運転管理、状態監視等を統括して司る制御系から構成されている。
その他、各系には大小あわせて数百の電源から電力が供給され、これらは専用の3室に設置されている。また電磁石等を冷やす冷却系と機器を作動させる圧空系が整備されている。

粒子線治療装置の鳥瞰図と各系の配置を示す。
イメージパース

入射系 イオン源室 He , C , H
直線加速器室 RFQ , DTL
主加速器系 シンクロトロン
ビーム輸送系
照射系


入射系


画像(1) 画像(2)

(1) 治療に供される陽子と炭素、実験・調整に用いるヘリウムの各イオンを生成し、シンクロトロンへ入射するための予備加速を行う。

(2) イオン源は、大強度であることとともに、加速効率を上げるために電子をできるだけ剥ぎ取って多価イオンを生成する必要がある。そのため、本装置ではその2つを両立させることができる、高エネルギー電子を用いたECRイオン源を採用した。粒子種を短時間で変更するため、またバックアップやメンテナンスの共通化の目的でそれを2台装備している。

(3) イオン源から出た粒子ビームは静電四極電極で集束され、加速電極により35keV/uにエネルギーがそろった上で取り出される。その後、シンクロトロンに入射するまでの予備加速を行う線形加速器に輸送される。途中には、イオン価数の選別用分析電磁石、スイッチング電磁石その他があり、イオン源ビーム輸送系として次の線形加速器に最適なビームを供給する。本装置では、ヘリウムでは電子を全て剥ぎ取ったもの、陽子では水素分子から電子をひとつ剥ぎ取ったもの、炭素では炭素原子から電子を4つ剥ぎ取ったものを線形加速器に輸送する。

(4) ヘリウム以上の重粒子は、陽子以外に電荷の無い中性子が同数程度核力により結合されており、同じ電磁場での力に対し陽子の2倍、電子の4000倍重く、加速、偏向(曲げること)、集束(曲げる力の応用)させるのもその程度難しくなる。その分電力と大きさを必要とする。また、電場では荷電粒子の加速、偏向、集束の全てが可能であるが、磁場では加速ができず、偏向と集束の力しかない。

(5) 線形加速器(ライナック)は、RFQとDTL(アルバレ型)の2つからなっている。RFQライナックとは、高周波の4極電場により加速と集束を行うものである。ビームは加速や輸送の途中必ず発散してしまうため、集束させる必要がある。イオン源からの35keV/uのビームをまずこのRFQで1MeV/uまで加速する。次のDTLライナックは、高周波電場を加速だけに用い、集束は四極電磁石によるものである。1MeVを越える粒子線は、電場では集束が難しくなり、四極電磁石による磁場を用いることになるからである。それでも大きさは直径1m程度、長さ6.5mに達する。このDTLで、粒子を5MeV/uまで加速する。このRFQとDTLは高周波の周波数を200MHzにそろえられており、相互の整合性を取っている。200MHzという周波数はHIMACのそれの2倍であり、装置のコンパクト化に成功している。

(6) この2つの線形加速器を出たビームは、薄膜を用いた荷電変換器で電子を全て剥ぎ取られ、水素分子は2つの陽子にされて主加速器であるシンクロトロンに入射される。さらに、入射に適したビーム構造に変換するデバンチャー、各種ビーム診断機器を備え、低エネルギービーム輸送系を形成する。また、ビームは低エネルギー領域ほど高真空中でないと拡散してしまうため、各種真空ポンプと真空計等真空機器が装備されている。

[主な入射系機器]

機器名 規格   台数
ECRイオン源 発振周波数10GHz (p, HE, C) 2台
三連静電四極 全電極長280mm, 電極間隔40mm 3台
加速電極 0.035MeV/u 2台
分析電磁石 最大中心磁場3kG, 偏向角90度 2台
スイッチング電磁石 最大中心磁場3kG, 偏向角90度 1台
RFQライナック 発振周波数200MHz, 1MeV/u 1式
DTLライナック 発振周波数200MHz, 5MeV/u 1式
デバンチャー 発振周波数200MHz, 運動量0.13%可変 1式
荷電変換器 炭素薄膜80μm/cm2, 40枚 1台
ビーム診断機器 ワイヤグリッド、ファラデーカップ、スリット等 1式
ビーム輸送 偏向電磁石、四極電磁石等 1式
電源 ECRイオン源、各種電磁石、静電極等用 60台
高周波電力増幅器 RFQ用最大300kW 3台
DTL用最大1.4MW 3台
デバンチャー用最大20kW 2台
真空ポンプ、ダクト 真空度10-8Torr程度 1式
その他 冷却系 1式



高エネルギービーム輸送系


画像(1) 画像(2)

(1) シンクロトロンから取り出された粒子ビームを6室7照射コース(開発照射室を含む)に効率よく分配し輸送する部分である。本施設ではその分配先が多いため、輸送コースは必然的に長く複雑になる。本施設では、その総延長は300m程度まで達する。

(2) 前述したように、ビーム輸送にはビームを偏向電磁石により偏向させ各室に切り替えることと共に発散を押さえるために集束作用を持つ四極電磁石も必要となる。また、回転ガントリーもビーム輸送系として組み込まれている。前述したように粒子ビームのエネルギーが高くなるほど、偏向・集束に大型の電磁石を用いなければならない。偏向電磁石20台のほとんどは13tを超えている。400kg程度の四重極電磁石は85台を要する。また、コースを切り替えて調整を容易化するために、位置モニターを多数配置し、軌道のずれを容易に補正可能なステアリング電磁石を同数程度装備している。

(3) その他、ビーム強度・形状等を測定する多数のモニター等各種機器からなっている。入射・主加速器系と同様基本的に電磁石は水冷であり、冷却水が循環している。真空度は入射・主加速器系程度には高真空の必要はないが、やはりビームの拡散を防ぐ程度に各種真空ポンプと真空計等真空機器が装備されている。

(4) 加速器から取り出されたビームは、垂直あるいは45度コースへの偏向電磁石を通り、偏向された場合は地上約20mまで上ってから垂直あるいは45度のコースへ切り替えられるようになっている。水平のままの場合はまっすぐ水平(垂直・水平室)照射へ向かうか、水平照射室、ガントリー室2室、開発照射室へ途中で2回曲げられて振り分けられる。そこから枝分かれするように各室に偏向電磁石で振り分けられて行く。回転ガントリーにはガントリー本体外側をビームが輸送され、最後に135度偏向電磁石により鉛直面で照射点に向かうようになっている。

(5) 本施設での大きな特徴は、ビーム切り替え時間短縮シンクロトロンパルス毎のエネルギー可変照射を可能とするための対策を行っていることである。それはこの系の13tを超える電磁石まで全て薄板積層の鉄心を用いていることである。
つまり電磁石の鉄心はヒステリシスと呼ばれる性質により、電流を上げるときと下げるときで磁場は同じ値とならない。すなわち磁場を設定値にするためには常に最大まで電流を上げてから下げるか、いったん電流を最大まで逆に流し、0にしてから上げることになり時間がかかる。しかし鉄心体積を小さくすればその違いは無視しうることから、短時間に磁場を切り替えるには鉄心を一体物ではなく1mm程度の鉄板の積層によって製作し、等価的に小さい鉄心の集合として、電流の上下変化に対する磁場の違いを無視しうる程度に押さえる方法を取る。主加速器の電磁石では当然磁場を瞬時に変化させなければならないためこの積層の鉄心を用いている。

[主な高エネルギ−ビーム輸送系機器]

機器名 規格 台数
偏向電磁石 磁束密度0.3-1.36T, 偏向角最大45度 18台
偏向電磁石 回転ガントリー用偏向角135度 2台
四極電磁石 磁場勾配最大15.5T/m 85台
ステアリング電磁石 磁束密度最大500Gauss 40台
ビーム診断機器 プロファイル(可搬形含む)、ビーム電流 10台
電源 各種電磁石・補助コイル用合計0.95MW 128台
高周波電力増幅器、電源 高周波加速空洞用 4式
真空ポンプ 真空度5×10-6Torr以下 14台
回転ガントリー本体 直径10m程度 2台
その他 冷却系
圧空系
その他
1式
1式



主加速器系


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(1) ここでは、陽子から炭素までを一台の加速器で治療に必要なエネルギーまで加速させることができるシンクロトロンを用いる。上述したように、加速するためには電場が必要であるが、一方エネルギーが高くなると電場での偏向が不可能となる。そのため電磁石を円形に配置して磁場により粒子ビームを曲げて周回させ、加速用電場部分の高周波加速空洞を100万回程度通過させ0.5秒近くかけて加速する。電場での加速と電磁石での偏向による周回を同期させることからシンクロトロンと呼ばれている。
高周波加速空洞    高周波加速空洞

(2) 加速を担当する高周波加速空洞は1つであるが2mを超える精密機器である。偏向電磁石を複数個使用してビームを1周させ高周波加速空洞まで戻しまた加速することを繰り返す。本装置では10t程度の偏向電磁石を12個使用している。それでもビームエネルギーを高めると、偏向電磁石が飽和する程度まで磁場を上げなければならない。上述したようにビームは発散するので四極電磁石で集束させながら次の偏向電磁石まで輸送する必要がある。本装置では3t程度の四極電磁石を24台使用している。加速させにくく曲げにくい粒子ビームをこういった装置で一周90m程度に6角形に近く並べて周回させ加速させることが本装置の主加速器系の骨格である。ここで、陽子とヘリウムは230MeV/u、炭素は320MeV/uまで加速され取り出される。重くなるほど体内深くまで届きにくくなり核子あたり(/u)のエネルギーを上げなければならず、規模が大きくなる。

(3) その他、ビーム強度や位置・形状等を測定する多数のモニター、軌道からのずれを補正するステアリング電磁石、粒子の運動量の広がりによる電磁石での集束のずれを補正する四極電磁石・六極電磁石等の各種の機器からなっている。主加速器系のみならず基本的に電磁石、電力増幅器、電源は水冷であり、冷却水が循環している。また高エネルギー領域となっても、ビームは100万回程度周回するので高真空中でないと拡散してしまうのは入射系と同様であり、各種真空ポンプと真空計等真空機器が装備されている。

(4) ビーム取出しは、治療の予定線量が照射されたらすぐにビームを止めることができるように約0.5秒程度かけて行われる。その間高周波加速空洞は停止し、ビームは加速器の中を偏向電磁石と四極電磁石により周回させられている。その間に取出し点で少しずつビームを振らせて軌道を外し取出すことになる。この振出し方には通常の3次共鳴を用いる方法と、RF-KO(RF-ノックアウト)を用いる方法の2通りを可能としている。通常取出しは確立されているが、取出しの制御に時間がかかり、呼吸同期等には対応できない。少し遅れてHIMACでも成功したRF-KOは充分速く制御が可能なため、呼吸同期にはこの方法を用いる。いずれの取出しにも、機器は静電インフレクター・デフレクター電極、セプタム電磁石、バンプ電磁石等多数の機器を組み合わせて用いる。

(5) ここは取出し効率という点でビーム強度すなわち治療時間に関係するのみならず、取り出されなかったビームはその周辺に当たって放射化させるため、安全管理上からも重要である。

[主な主加速器系機器]

機器名 規格 台数
高周波加速空洞 発振周波数0.98-6.75MHz 1台
偏向電磁石 磁束密度0.079-1.383T, 偏向角30度 12台
四極電磁石 磁場勾配最大6.719T/m 24台
ステアリング電磁石 磁束密度最大500Gauss 24台
補正用四極電磁石 磁場勾配最大0.840T/m 2台
六極電磁石 補正用、出射用 16台
静電インフレクター電極 電場50kV/cm 1台
静電デフレクター電極 電場64kV/cm 2台
セプタム電磁石 入射用、出射用 2台
バンプ電磁石 入射用、出射用 8台
ビーム診断機器 位置・プロファイル・強度・リップル等 36台
電源 各種電磁石・静電極用、合計3MW 46台
高周波電力増幅器、電源 高周波加速空洞用 4式
真空ポンプ 真空度10-8Torr以下 28台
真空ダクト リブつき・セラミック・ベローズ等 35式
その他 冷却系
圧空系
その他
1式
1式

加速器とは


 加速器というのは、粒子に運動エネルギーを与え、速度を上げるための装置です。粒子の加速には、電場を用います。電荷をもった粒子(荷電粒子)は、電場の中で、エネルギーをもらい速度が高くなります。これは、右の図のように、二つの電極板により電場をつくって、負の電荷をもった電子を穴から電場に入れると、正の電極板に向かって引き寄せられます。この時、電子は加速され、速度を上げて正の電極に向かいます。この時の電子の運動エネルギ−は、電場の中での位置エネルギ−が運動エネルギ−に変えられたものです。1Vの電場で加速された電子のエネルギーを1電子ボルト(eV)と言います。

 このように、荷電粒子は、電場の中で電場からエネルギーをもらって速度を上げます。これが加速器の原理です。日常の生活の中でも加速器は使われています。その代表がテレビやパソコンのディスプレー用のブラウン管であり、陰極からの電子が約2千ボルトの電位差の中で加速され、2keVのエネルギーを持った電子ビームとして、ブラウン管の発光面を叩くことで、光を出しています。

 放射線治療では、もっと高いエネルギーの粒子が必要です。そのために加速電場を何段階も重ねて加速します。加速の仕方から加速器にはいくつかの種類があります。

線形加速装置

 粒子を直線上にならべた加速電場で加速するものを線形加速器と言います。
円筒の加速空洞内に、円盤や小さい円筒を組み込み、この空洞の中に、大電力の高周波を導き、円筒内にできる高周波の定在波、または、進行波が作る電場を利用して加速します。
シンクロトロン加速装置


 加速粒子を円形軌道に乗せるための多数の偏向電磁石と、粒子を加速するための電極に相当する高周波加速空洞から構成されています。
加速粒子をイオン源からビームとして取出し、線形加速器を使って、あるエネルギーにまで加速した後、円形軌道に打ち込みます。このとき、円形軌道上の偏向電磁石の磁場の強さは、最初には小さくしておきます。ビーム粒子は、円形軌道を周回するたびに、加速空洞を通過し、その度に、加速されエネルギーが増加して行きます。それに合わせて、磁場も増加させ、同じ円軌道を周回するように調整します。そして、最高エネルギーに達した時、円形軌道から離脱させ、外部へビームとして取り出します。



照射系


45度照射室
45度照射室
水平・垂直照射室
水平・垂直照射室
ガントリ室2、座位治療室
ガントリ室2、座位治療室
ガントリ室1、2
ガントリ室1、2

(1) 高エネルギービーム輸送系から各照射室に供給されたビームは、照射系の照射装置によりがん形状に集中させて多方向から照射される。固定照射では水平、垂直以外に45度という本施設しかない照射角度を可能としたほか、任意の方向から照射可能な回転ガントリーも2室用意している。回転ガントリーには陽子のみ、その他の照射室には陽子、ヘリウム、炭素が照射できるようになっている。

A室(45度照射室)
A室(45度照射室)
B室(水平・垂直照射室)
B室(水平・垂直照射室)
45度照射室
45度照射室
G1室、G2室(ガントリー照射室)
G1室、G2室(ガントリー照射室)

(2) 照射装置では、高エネルギービーム輸送系からの細くかつ体内の5mm以下の小さい領域(ブラッグピーク)にしか止まらないビームを腫瘍に合う形に整形する。通常のX線での照射では始めから幅広い照射野であり、また体内で止めることはせず通過させる。しかし粒子線ではビームが止まるときに最大の線量を体内に与えるが、通過するだけではその特徴を生かせない。それゆえ正確に腫瘍全体に粒子を止めることが重要である。

(3) まずビームを広げる方法であるが、ワブラー電磁石でビームをドーナツ状に1秒間に60回以上回転させる。そして散乱体(重金属の薄板)を通過させる。うまく回転半径と散乱体厚を調整すると、患者体内で一様に広がった照射野となる。これを患者の直前に置かれたコリメーターで腫瘍の形にビームを通す。このコリメーターは、小さく精密な照射のためには患者ごとに真鍮に穴をあけて製作するが、主として多葉コリメーターという40対の金属板を開閉して形を作る装置を使用する。次にリッジフィルターで、深さ方向に腫瘍に合わせる。これは上述した小さい領域をずらせて重ね合わせるものである。リッジフィルターは、腫瘍に一様な線量となるように設計・製作される。最後に患者直前に置かれたボーラスにより腫瘍の深さ方向の形を調整される。それ以外には、ビームの到達する最深長を微調整するレンジシフタ、不要な部分への照射を除くリングコリメーター、線量と平坦度を監視する各種モニター等からなっている。


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(4) また、高精度の治療には、照射する位置を治療計画での設定と一致させる位置決め機能が設置されている。これらは、コリメーターの形が確認できるライトローカライザー、中心位置を確認するレーザーポインター、動画・静止画が撮影できるX線管と大型X線テレビ装置、数値入力でも上下・左右移動と回転ができる治療台等からなっている。体内の骨あるいは埋め込まれた金属片等を目印(ランドマーク)として2方向あるいは3方向から撮影し、3次元的に患者の位置を決定する。

(5)正確な治療照射には、上記機器によって形成された照射野が計算通りであるか測定する必要がある。そのために水ファントムを用いた線量分布測定装置が設置されている。

(6) 垂直・水平照射室、45度照射室の3コースの最大照射野は15×15cmであり、もうひとつの水平照射室は直径10cmである。これは、回転椅子により座位で多方向から照射治療でき、しかも精密な照射専用である。また、回転ガントリーでの最大照射野は直径15cmとなっている。全ての治療照射室には短時間で準備できるよう多葉コリメーターを装備している。治療以外の物理・生物実験等も可能にするため、開発照射室が設けられている。ここではワブラー電磁石と散乱体が設置されている。

[主な照射系機器]

機器名 規格 台数
ワブラー電磁石 X, Y用、周波数約67Hz 14台
散乱体 鉛・タンタル製 7台
リッジフィルター 陽子用、炭素用 30台
レンジシフタ 最大水等価厚127mm 6式
リングコリメーター 強度95%で遮断する内径 6台
多葉コリメーター 40対、移動速度13mm/sec 6台
ボーラス・コリメーター取り付け 厚さ10cmと15cmを可能にする 10台
ビーム診断機器 正・副・副副線量、平坦度モニター 18台
ライトローカライザー 白色 6台
レーザーポインター 太さ1mm以下 5式
X線管 アイソセンターから1.592m上流 6台
XTV 正・側・BEV撮影(動画可) 5式
線量分布測定装置 X, Y, Z1, Z2の4軸移動 5台
治療台 カーボンケブラー製 4台
治療椅子 45度リクライニング、360度回転 1台
その他 冷却系 圧空系 その他 1式 1式



制御系


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(1) 本装置は、粒子線治療専用として一日に数十門の照射を前提としている。そのために粒子種の切り替え30分、エネルギー変更15分、コース変更1分という仕様となっている。それを実現するためには、上記入射系から照射系までを密接に制御せねばならない。そのため、制御系は各系に密接した制御計算機と、それらを全体的に制御しかつ建屋設備、放射線管理設備等からの情報を管理する全系制御計算機からなっている。各系はTCP/IPプロトコルによるLANで制御信号を伝送している。HIMACを中心とした最新の加速器制御技術を反映させ、小人数で容易に運転可能としている。

(2) 基本的に、加速器部すなわち入射、主加速器、高エネルギービーム輸送の各系においては、全系と合わせて3台の計算機で切り替えて制御できるようになっている。最小限2人での運転を目指して設計されており、取り扱い容易なWindows NTをOSとするPC(パーソナルコンピューター)によるMMI(マンマシンインターフェース)を採用した。電磁石や高周波機器等の制御には、各系の性質を反映して以下の構成となっている。入射系では制御計算機から主としてVME計算機を通じてUDC(ユニットデバイスコントローラー)で、主加速器系ではVME, PLC計算機を通じて各機器の電源に組み込まれたパターンメモリーで、そして高エネルギービーム輸送系では主としてPLC計算機を通じて各機器の電源に組み込まれたRIO(リモートインプットアウトプット)で制御される。要するに各機器は、その電源等に小型の計算機が組み込まれ、加速中の運転データが転送されており、それを読み出して制御される。

(3) 照射系制御計算機は、主として4つに分けられている。照射管理・位置決め・治療制御・機器制御計算機である。照射管理計算機は上記全系計算機を通じて加速器と制御信号をやり取りするほか、治療計画装置や治療スケジューラーから治療情報を受け取りそれ以外の計算機へ送る役目も持っている。各機器の制御は機器制御計算機に送られ、VME計算機を通じて対応したシーケンサにより行われる。照射系の項で述べた位置決めは、X線透視画像撮影、その参照画像との比較、治療台設定等の操作からなっており、位置決め計算機で行われる。その位置決め終了後、治療計画に基いた機器設定値の送信や照射開始・停止操作、各種線量測定、そのデーター収集を治療制御計算機が受け持つ。室外からの照射機器の操作もこの計算機から行う。これらの計算機は放射線技師により照射前後のあわただしい時間に操作されるため、多様な操作を短時間に間違いなく行われるよう、十分検討されたMMIとしてUNIX上のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を使用している。

(4) 装置全体を通じて、大小全ての機器の状態(電流値、水温、水圧、設定位置その他故障)は監視されており異常があると各系制御計算機を通じて表示され、運転と同時に保守管理への状態を提供する。またビーム照射・停止条件はグローバルインターロックが監視し、同時に放射線安全管理へ状態を伝送する。

[主な制御系機器]

機器名 規格 台数
ワブラー電磁石 X, Y用、周波数約67Hz 14台
散乱体 鉛・タンタル製 7台
リッジフィルター 陽子用、炭素用 30台
レンジシフタ 最大水等価厚127mm 6式
リングコリメーター 強度95%で遮断する内径 6台
多葉コリメーター 40対、移動速度13mm/sec 6台
ボーラス・コリメーター取り付け 厚さ10cmと15cmを可能にする 10台
ビーム診断機器 正・副・副副線量、平坦度モニター 18台
ライトローカライザー 白色 6台
レーザーポインター 太さ1mm以下 5式
X線管 アイソセンターから1.592m上流 6台
XTV 正・側・BEV撮影(動画可) 5式
線量分布測定装置 X, Y, Z1, Z2の4軸移動 5台
治療台 カーボンケブラー製 4台
治療椅子 45度リクライニング、360度回転 1台
その他 冷却系
圧空系
その他
1式
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