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X線治療と粒子線治療の違い

 従来の放射線治療ではX線を用いますが、診断を目的とするX線写真にも用いられることからもわかるようにからだの中を通り抜ける性質が強いです。X線は体内を通過すると次第に減衰し、エネルギーを通り道に与え、治療効果を発揮します。

 X線のエネルギーの分布は体表面から1〜2cm下の皮下組織で最も強くなり、その後次第に減衰していきます。からだの厚さにもよりますが、からだの反対側に到達しても、約30〜60%ものエネルギーが与えられることになります。病巣にある程度の放射線量を照射しようとすると、X線の通り道になる病巣の手前の正常組織には常に病巣よりも多い量の放射線が照射されることとなります。また、病巣部を通り過ぎた向こう側にも引き続き放射線が照射されます。

 X線による放射線治療を行う場合には、常にX線の通り道の正常組織が耐えられる限界量を考える必要があります。副作用を考えると放射線量の加減が必要で、がんを治し切れるほどの量まで照射できない場合も多くあります。

 粒子線はX線と違い、からだの中をある程度進んだあと、急激に高いエネルギーを周囲にあたえ、そこで消滅するという性質を持っています。その性質を利用すると病巣部周囲のみに高いエネルギーが与えられ、通り道に与えられるエネルギーを少なくするように調整することができます。
X線治療と比較するとがん病巣部により高い量の放射線を照射することができ、より高い治療効果を得ることができます。また、同じ量の放射線でも正常組織に照射される範囲が広ければ副作用は強く、狭ければ副作用が軽くなることが知られています。粒子線治療の場合にはがん病巣と同じ高い放射線量が照射される範囲を狭くすることができますので、副作用も軽くなります。

 同じ物理線量で比べた場合、生物実験での治療効果は陽子線の場合、X線と比較してわずかに強い程度(約1.1倍)ですが、炭素イオン線では約3倍強いという結果が報告されています。(実際に炭素イオン線治療を行う場合には副作用が強くならないように全体の物理線量をX線や陽子線よりも減らす必要があります。) 
炭素イオン線は特にX線が効きにくい性質のがんに対しても強い治療効果を発揮します。


各種放射線の線量分布


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