- 粒子線治療装置 -
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粒子線治療装置とは、体内深い腫瘍まで粒子を集中させて照射する装置である。そのためには体内深くまで粒子が届くように加速し、なおかつ可能な限り正常細胞には影響しないようにする機能が必要である。
粒子線治療装置本体は、
加速器というのは、粒子に運動エネルギーを与え、速度を上げるための装置です。粒子の加速には、電場を用います。電荷をもった粒子(荷電粒子)は、電場の中で、エネルギーをもらい速度が高くなります。これは、右の図のように、二つの電極板により電場をつくって、負の電荷をもった電子を穴から電場に入れると、正の電極板に向かって引き寄せられます。この時、電子は加速され、速度を上げて正の電極に向かいます。この時の電子の運動エネルギ-は、電場の中での位置エネルギ-が運動エネルギ-に変えられたものです。1Vの電場で加速された電子のエネルギーを1電子ボルト(eV)と言います。
このように、荷電粒子は、電場の中で電場からエネルギーをもらって速度を上げます。これが加速器の原理です。日常の生活の中でも加速器は使われています。その代表がテレビやパソコンのディスプレー用のブラウン管であり、陰極からの電子が約2千ボルトの電位差の中で加速され、2keVのエネルギーを持った電子ビームとして、ブラウン管の発光面を叩くことで、光を出しています。
放射線治療では、もっと高いエネルギーの粒子が必要です。そのために加速電場を何段階も重ねて加速します。加速の仕方から加速器にはいくつかの種類があります。
線形加速装置
粒子を直線上にならべた加速電場で加速するものを線形加速器と言います。
円筒の加速空洞内に、円盤や小さい円筒を組み込み、この空洞の中に、大電力の高周波を導き、円筒内にできる高周波の定在波、または、進行波が作る電場を利用して加速します。
シンクロトロン加速装置
加速粒子を円形軌道に乗せるための多数の偏向電磁石と、粒子を加速するための電極に相当する高周波加速空洞から構成されています。
加速粒子をイオン源からビームとして取出し、線形加速器を使って、あるエネルギーにまで加速した後、円形軌道に打ち込みます。このとき、円形軌道上の偏向電磁石の磁場の強さは、最初には小さくしておきます。ビーム粒子は、円形軌道を周回するたびに、加速空洞を通過し、その度に、加速されエネルギーが増加して行きます。それに合わせて、磁場も増加させ、同じ円軌道を周回するように調整します。そして、最高エネルギーに達した時、円形軌道から離脱させ、外部へビームとして取り出します。
機器名 | 規格 | 台数 |
---|---|---|
ECRイオン源 | 発振周波数10GHz (p, HE, C) | 2台 |
三連静電四極 | 全電極長280mm, 電極間隔40mm | 3台 |
加速電極 | 0.035MeV/u | 2台 |
分析電磁石 | 最大中心磁場3kG, 偏向角90度 | 2台 |
スイッチング電磁石 | 最大中心磁場3kG, 偏向角90度 | 1台 |
RFQライナック | 発振周波数200MHz, 1MeV/u | 1式 |
DTLライナック | 発振周波数200MHz, 5MeV/u | 1式 |
デバンチャー | 発振周波数200MHz, 運動量0.13%可変 | 1式 |
荷電変換器 | 炭素薄膜80μm/cm2, 40枚 | 1台 |
ビーム診断機器 | ワイヤグリッド、ファラデーカップ、スリット等 | 1式 |
ビーム輸送 | 偏向電磁石、四極電磁石等 | 1式 |
電源 | ECRイオン源、各種電磁石、静電極等用 | 60台 |
高周波電力増幅器 | RFQ用最大300kW | 3台 |
DTL用最大1.4MW | 3台 | |
デバンチャー用最大20kW | 2台 | |
真空ポンプ、ダクト | 真空度10-8Torr程度 | 1式 |
その他 | 冷却系 | 1式 |
高周波加速空洞
機器名 | 規格 | 台数 |
---|---|---|
高周波加速空洞 | 発振周波数0.98-6.75MHz | 1台 |
偏向電磁石 | 磁束密度0.079-1.383T, 偏向角30度 | 12台 |
四極電磁石 | 磁場勾配最大6.719T/m | 24台 |
ステアリング電磁石 | 磁束密度最大500Gauss | 24台 |
補正用四極電磁石 | 磁場勾配最大0.840T/m | 2台 |
六極電磁石 | 補正用、出射用 | 16台 |
静電インフレクター電極 | 電場50kV/cm | 1台 |
静電デフレクター電極 | 電場64kV/cm | 2台 |
セプタム電磁石 | 入射用、出射用 | 2台 |
バンプ電磁石 | 入射用、出射用 | 8台 |
ビーム診断機器 | 位置・プロファイル・強度・リップル等 | 36台 |
電源 | 各種電磁石・静電極用、合計3MW | 46台 |
高周波電力増幅器、電源 | 高周波加速空洞用 | 4式 |
真空ポンプ | 真空度10-8Torr以下 | 28台 |
真空ダクト | リブつき・セラミック・ベローズ等 | 35式 |
その他 | 冷却系 圧空系 その他 |
1式 1式 |
機器名 | 規格 | 台数 |
---|---|---|
偏向電磁石 | 磁束密度0.3-1.36T, 偏向角最大45度 | 18台 |
偏向電磁石 | 回転ガントリー用偏向角135度 | 2台 |
四極電磁石 | 磁場勾配最大15.5T/m | 85台 |
ステアリング電磁石 | 磁束密度最大500Gauss | 40台 |
ビーム診断機器 | プロファイル(可搬形含む)、ビーム電流 | 10台 |
電源 | 各種電磁石・補助コイル用合計0.95MW | 128台 |
高周波電力増幅器、電源 | 高周波加速空洞用 | 4式 |
真空ポンプ | 真空度5×10-6Torr以下 | 14台 |
回転ガントリー本体 | 直径10m程度 | 2台 |
その他 | 冷却系 圧空系 その他 |
1式 1式 |
45度照射室
水平・垂直照射室
ガントリ室2、座位治療室
ガントリ室1、2
A室(45度照射室)
B室(水平・垂直照射室)
G1室、G2室(ガントリー照射室)
機器名 | 規格 | 台数 |
---|---|---|
ワブラー電磁石 | X, Y用、周波数約67Hz | 14台 |
散乱体 | 鉛・タンタル製 | 7台 |
リッジフィルター | 陽子用、炭素用 | 30台 |
レンジシフタ | 最大水等価厚127mm | 6式 |
リングコリメーター | 強度95%で遮断する内径 | 6台 |
多葉コリメーター | 40対、移動速度13mm/sec | 6台 |
ボーラス・コリメーター取り付け | 厚さ10cmと15cmを可能にする | 10台 |
ビーム診断機器 | 正・副・副副線量、平坦度モニター | 18台 |
ライトローカライザー | 白色 | 6台 |
レーザーポインター | 太さ1mm以下 | 5式 |
X線管 | アイソセンターから1.592m上流 | 6台 |
XTV | 正・側・BEV撮影(動画可) | 5式 |
線量分布測定装置 | X, Y, Z1, Z2の4軸移動 | 5台 |
治療台 | カーボンケブラー製 | 4台 |
その他 | 冷却系 圧空系 その他 | 1式 1式 |
機器名 | 規格 | 台数 |
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全系計算機 | Windows NT | 1台 |
入射・主加速器・HEBT系MMI | indows NT, 目標2人運転 | 2台 |
入射系機器制御計算機 | ME計算機、UDC | 1式 |
主加速器系制御計算機 | ME, PLC計算機、パターンメモリ | 1式 |
高エネルギービーム輸送系制御計算機 | PLC計算機、RIO | 1式 |
照射管理計算機 | UNIX, GUI | 1台 |
照射系機器制御計算機 | パーソナルコンピュータ | 5台 |
位置決め計算機 | UNIX, GUI | 5台 |
治療制御計算機 | UNIX, GUI | 5台 |
照射系制御インターフェース | VME計算機、シーケンサ | 6式 |
グローバルインターロック | 加速器、照射操作各室用 | 2台 |
ビームストッパー | 通常のビーム停止 | 1台 |
ビームシャッター | 照射室までの調整用 | 7台 |
監視用計測器 | 電流、水温、水圧、設定位置等 | 100式 |
治療スケジューラー | 最長1年間、webブラウザ対応 | 1台 |
その他 |