調査1 どんな口腔内トラブルが起こるの?(味覚障害)

味覚障害

食べ物の味の変化は、舌の味蕾細胞への放射線障害が原因といわれています。
口腔への粒子線治療を受けた方の一部分で味覚の変化(低下)が認められます。
回復には治療終了後数ヶ月から半年を要し、中にはあまり改善しない方や変化したまま持続する方もあります。
頭頸部の治療を受けた方は口腔粘膜、唾液腺にも照射していることあるので、口が渇くことも味覚変化(低下)の一因とされています。
その症状は個人差があり、旨味の微妙な味付け加減がわからない、想像した味と違う味がする、口の中に何もないのに苦味を感じる、塩味、甘味、酸味の薄味・濃い味加減が微妙に変化したという患者さんもいれば、ほとんど症状が出ない方もいます。
食事というのは栄養を取るだけでなく人生における大きな喜びであり、その微妙な感覚が失われることは大変つらいことです。なるべく障害が残らないような治療を行うことが望まれています。

検査のしかた

味のついた検査薬をしみ込ませた小さなろ紙を舌に乗せ、味の感じ方を自己申告してもらいます。 味が感じられない場合は、検査薬の濃度を高くしていき、どのくらいの濃度で味を感じられるかを調べます。 甘味、塩味、酸味、苦味の4種類の検査薬を用いて調べます。

 

味覚検査薬を用いて、味覚異常を調べました。

グラフ:味覚異常を調べました。

縦軸は、味覚検査用の試薬を用いて調べた値です。

数値が高いほど感覚が鈍っていることを示します。数値が70以上になると味覚の微妙な変化が生じ、100以上は食事の味がほとんど感じられません。

横軸の単位 GyE=グレイ・エクイバレント=臨床線量

吸収線量に生物学的効果比という値を掛けたもの。

粒子線治療では、症状に応じた強度の粒子線を何回にも分けて照射します。
治療が進むにつれGyEは増加し、ほとんどの患者さんは60GyE程度を経験します。
つまり、治療の経過とともに、どのような変化が見られるかを調べています。

SD=標準偏差 

データのばらつきを表す数値。SDが小さいほど、平均値とのばらつきの度合いが小さいことを示します。

粒子線の照射量が増えても味覚障害は増加しにくい

X線では20GyE程度でも味覚感度の低下が見られ、吸収量が増えるにつれ感度も低下します。
一方、粒子線の場合は、感度の低下は低く、吸収量が増えても大きな変化は見られません。

 

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調査1~3

調査1 どんな口腔内トラブルが起こるの?
調査2 口腔内トラブルと食事の関係は?
調査3 どんな食事がいいの?

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