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兵庫県立粒子線医療センター

ニュースレターNo.11
July 2000



CONTENTS

I  整備状況報告

II 受け入れ体制整備

III 研修記

IV 最新治療情報

V トピックス

VI お知らせ


兵庫県県民生活部県立病院局経営課
(県立粒子線治療センター整備室)

I  整備状況報告

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
主幹(装置担当)  板 野 明 史

ヘリウム、陽子および炭素ビームの加速・取り出しに成功

兵庫県立粒子線治療センターでは、陽子線及び炭素線を用いてがんの放射線治療を行う粒子線がん治療装置の建設を進めてきました。
センターは兵庫県揖保郡新宮町に位置し、その装置は隣接する大型放射光施設SPring-8とともに播磨科学公園都市の中核的加速器施設でもあります。
粒子線治療センターには5.9haの敷地に、地上4階建て面積12,000uの照射治療棟と、50床の入院棟と2階建ての本館とからなる面積約4,500uの病院棟を配置します。図1にはこの粒子線治療センターの全体図を示します。
図1.粒子線治療センター
図2.照射治療棟の内部配置
図1.粒子線治療センター
図2.照射治療棟の内部配置
図2に照射治療棟の内部配置を示します。がん治療装置加速器部分の構成要素として、
(1)10GHzのECRイオン源2台と200MHzのRFQライナック及びアルバレライナックとからなる前段(線型)加速器である入射器系、
(2)主加速器である直径約30mのシンクロトロン、
(3)各治療照射室にビームを輸送し分配する高エネルギービーム輸送系、
(4)照射室が配置されています。
前段加速器では、核子当り5MeVのエネルギーにまで加速されます。これは光速の約10%の速さに相当します。
シンクロトロンでは炭素線の場合核子当り320MeVのエネルギーにまで加速されます。これは光速の約67%の速さに相当します。
照射室としては、炭素線、陽子線照射の両方に対応する45度斜め照射室、水平・垂直照射室、小照射野水平照射室の各治療照射室、物理・生物実験照射用の開発照射室および陽子線治療照射専門のガントリー照射室2室が配置されています。
加速器制御室、治療操作室、患者ロビー及び加速器用電源室はその周りに配置されています。
陽子線、炭素線の他に開発照射用としてHe線も使用することができます。
昨年11月からは入射器系のビーム調整を開始しました。
今年2月には科学技術庁による入射器系の(放射線遮蔽能力に関する)放射線安全検査および主加速器系・各照射室の(入退室管理及びインターロックに関する)施設検査を受け、その許可通知を得て3月からシンクロトロンのビーム試験を開始しました。
図3には主加速器の写真を示します。
ビーム軌道を曲げて周回軌道を実現するための偏向電磁石、ビームを収束させるレンズの役割を演ずる4極電磁石、真空ダクトなどが写っています。写真の左側には、高エネルギービーム輸送系の1部分も見えます。
図3.シンクロトロン(主加速器)
図4.シンクロトロンビームの観測
図3.シンクロトロン(主加速器)
図4.シンクロトロンビームの観測
シンクロトロンのビーム調整は以下の手順で進めます。
1)入射器系からのビーム(粒子線)を、シンクロトロンに導き入射して、シンクロトロンのリング上を1回ないし数回周回させるシングルターン入射、
2)さらにリング上のビームの周回を持続させるマルチターン入射、
3)高周波電圧による加速の準備として、ビームを高周波電圧に同期させる高周波捕獲、
4)シンクロトロンの電磁石電流の増加に同期してビームエネルギーを増加させて行く高周波加速、
5)所定のエネルギーまで加速した後のシンクロトロンからのビーム取出し。

まずHeビームを用いて以上の手順を順序通り進めて行き、約3週間弱でビーム取出しにまでこぎつけました。
その後は、高エネルギービーム輸送系の各コースでの輸送試験を行いながら、ビーム入射、加速、取出しの効率を向上させる調整を続けました。
5月の連休前には、80%以上のビーム取出し効率を実現し、要求されるビーム強度も得ることができました。連休明けからは、陽子ビーム、炭素ビームの調整を順次進めて行き6月初旬にはすべてのビームについて80%以上のビーム取出し効率と要求ビーム強度を実現しました。
この間、6月からは各照射室にもビームを導入して、線量計その他の照射系機器の動作試験を行い良好な結果を得ています。

図4にはシンクロトロンビームのオシロ・スコープによる観測結果を示します。
 1番上の線は偏向電磁石の励磁電流を表します。低い電流値の時点(これをフラット・ベースFBといいます)でビームを入射し、電磁石電流の増加とともにビームが加速されてエネルギーが増加します。
電磁石電流値が上がりきるとその値をしばらく保持します。この期間をフラット・トップ(FT)と言います。
3番目の線は、シンクロトロンを周回するビームの強度(電流値)を表します。
FBでビームが入射されると電流値が現れビームの加速とともに電流値が増加します。FTではビームが取出されるとともに電流値がゆっくりと減少して行きます。
4番目の線はビーム輸送系の途中で観測された取出しビームの信号です。

現在、放射線遮蔽に関する安全確認のための自主検査も無事に終了し、科学技術庁による安全検査を受ける準備を行っています。

病棟のコンセプト 〜 温もりの感じられる空間を〜

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)    
主幹(看護担当)  目 尾 博 子

治療棟についで、病院棟の建設工事も11月末竣工にむけいよいよ急ピッチで進み、現地を訪れるたびにその形があきらかになっています。

この度、病室の内装など詳細がきまりましたのでご紹介します。
 嘗て日本の病院の殆どは、機能一点張り、居住性にはほど遠く、薄暗く色彩のない殺風景な病室、病院独特の消毒薬の臭いは病気を宣告された患者や家族に、ますますの不安と緊張を高めるものでした。 
 当センターは、患者の特性などから考慮して、病棟の居住性は一般病院にもまして、日常の生活空間に近いことが望ましいと考えます。緑豊かな播磨科学公園都市の自然をとり込み、快適さ、自由さ、何にもましてぬくもりの感じられる空間にしたいと考えています。 
☆病棟は、平屋の別棟(50床)で、特室4、個室10、4床室は9室。治療の場から離れ、池をはさんで独立しています。

4床室 見取り図 病室のモデル
4床室 見取り図 病室のモデル
☆プライバシーが保て緑の見える病室、4床室はベッドがそれぞれ隣接せずプライバシーが保て、全てのベッドから緑が楽しめます。

☆温もりのある空間
病室の備え付け家具等は木調の仕上げで、酸素・吸引の設備は使用しない時は見えないように工夫され、柔らかみと温もりが感じられます。
全ての病室に洗面とトイレを設置した居住性の高い空間です。

☆現在の生活に欠かせないもの
冷蔵庫・テレビは各病床ごとに収容スペースを設けました。又ライティングテーブルを設け、OA対応端子を配置、デスクワークや読書もできます。
☆くつろぎの入浴・シャワー
4〜5人入れる浴室とシャワー室をもうけ、各1床室にはユニットバスがあり、比較的時間を気にすることなく入浴出来ます。

☆交流の場となる食堂
病棟内ではなく、動線の交点となる施設の中央部に位置しています。

もしあなたが入院するならば、どのような空間を望みますか?

癌と宣告された患者さんの闘病の場所、また、当センターは、当面のところ自費で治療費を頂きます。
それに見合った環境、治療看護でなければなりません。
患者さんに理不尽な我慢を強要せず、温もりの感じられる空間、人と人との温かさで患者さんを迎えたいと思っています。

救急医療体制について

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)    
主査(診療準備担当) 香 川 一 史

 県立粒子線治療センター(仮称)は放射線科単科のがん治療専門病院としてスタートし、当初は原則として粒子線治療により社会復帰が可能と考えられるがん患者を治療の対象とする予定である。
しかし、粒子線治療に限らず、がんの放射線治療では、時として予期せぬ重篤な急性障害が起こり得ることに加え、がん発症の危険因子である喫煙、飲酒、加齢は心疾患や脳血管障害の危険因子とも重複している。
また、中年期から初老期のいわゆるがん年齢では、糖尿病や高血圧、肝・腎障害などの基礎疾患を有していることが多く、放射線治療期間中にこれらの基礎疾患が悪化することはしばしば経験される。従って、当センターでがんの粒子線治療を行う際には、照射自体による急性障害と、がんとは直接関係のない偶発的な急性心筋梗塞や脳出血などの救急疾患の両方を想定して、しかるべき救急医療体制を整備しておく必要がある。
 上記の想定疾患のうち、特にがんとは直接関係のない高度救急疾患に対する初期対処技術の習得を目的として、平成12年4月から6月末までの3か月間、兵庫県立姫路循環器病センターにて研修を受ける機会を得た。
同センターは中核となる循環器科、心臓血管外科以外にも内科、神経内科、外科、脳外科、放射線科、麻酔科の診療を行っており、県内には数少ない3次救命救急施設である。
今回の研修では、最も救急度の高い循環器科に所属し、循環器科病棟に受け持ち患者を持ちながら、救急外来、集中治療室、手術室、血管造影室の各部署で各科の先生方から救急医療についての指導を受けることができた。
 一連の患者の流れを見て何よりも驚いたのは、患者の回転の速さである。
例えば循環器科の病床数は50床+αであるが、1999年には1590人の患者が入院し、延べ1108件の心臓カテーテル診断・治療が行われている。平均在院日数は約2週間であり、1304人が軽快退院し、死亡は30人に満たない。
救急外来で心停止に対して蘇生を行った患者が数週間後には歩いて退院するのを見るのは新鮮な驚きであった。
急性冠動脈症候群や、致死的不整脈では一刻を争う初期治療が必要であり、最初の数分間の対応の良し悪しが患者の明暗を分ける。
このような分刻みの医療を正確に遂行するためには全医療スタッフの団結が必須であるが、同センターでは常勤医、研修医から看護婦、技師、臨床工学士に至るまで、クリティカル・パスと呼ばれる、申し合わせ済みの診療パターンに乗った効率的なシステムが十分に浸透しているのが印象に残った。
 県立粒子線治療センター(仮称)内では、開設当初の予定では、緊急開胸や開腹・開頭手術は実施できる状況にはない。
緊急の血管造影、血管の形成術や塞栓術についても、物理的には可能でも、資材と人員の面から実施は困難な状況である。
高度の救急医療が必要な事態では、必然的に患者を最適な救急医療施設に救急車で搬送することになるが、特に一刻を争う病態では、センター内でもある程度の心肺蘇生や緊急内視鏡処置などが必要になると思われる。以上の点より、人工呼吸器や電気的除細動器、消化管内視鏡などの最低限の医療資材を整備するとともに、医療スタッフに対しても緊急時のクリティカル・パスの浸透を徹底したいと考えている。対外的には、救急隊および患者の搬送先の施設との連絡体制を確立していく。
 最後になりましたが、今回の研修を全面的にサポートして下さった姫路循環器病センターの小川院長ならびに志田副院長、相談役となって下さった放射線科の坂本部長、救急患者が運ばれるたびにコールして下さった脳神経外科の川口部長、そして最後まで親切に指導して下さった循環器科の梶谷部長・宝田部長以下の先生方にこの場を借りて心からお礼申し上げます。


国立がんセンター東病院、放射線医学総合研究所の研修を終えて

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)    
主査(診療準備担当) 坂井 洋登    
技術吏員 (同)   矢能 稔啓    

 

○はじめに
 兵庫県立粒子線治療センター(仮称)(以下Hyogo)では、施設竣工に向けて加速器の調整や病院棟の建設が着々と進められています。
こうした中、本年6月からのシンクロトロンのビーム調整に役立てるため、4月17日より国立がんセンター東病院、及び放射線医学総合研究所の2施設で研修を受けましたので報告します。
○国立がんセンター東病院
(NATIONAL CANCER CENTER HOSPITAL EAST:以下NCC東)
 NCC東には、がん終末期患者に対する緩和ケア病棟、また陽子線治療を行う高エネルギー棟があり、患者さんが生活の質(Quality Of Life ;QOL)を選択するにあたって、多種多様な治療とケアを提供できる施設でした。
今回研修を受けた高エネルギー棟は、病棟と棟続きで、入院患者さんが楽に治療室まで通える様に配慮されていました。

NCC東の勝田さん ガントリー室で線量測定中 固定具
NCC東の勝田さん ガントリー室で線量測定中 固定具

高エネルギー棟内の陽子線加速器(サイクロトロン)本体とビーム輸送部が設置されている加速器室は、Hyogo(シンクロトロン)に比べ非常にコンパクトでしたが、ガントリー室とその駆動部分は直径10m、1機の総重量120tと途轍もなく巨大な装置でした。
また、治療室は散乱方法(照射野サイズ)に違いがある回転ガントリー2室、座位治療用の水平固定1室で、様々な疾患に対応できるようにそれぞれの部屋に特徴を持たせ設計されていました。ガントリー室では戦車のキャタピラのような構造を持ち、ガントリーが回転しても床が常に平面で、空間的にも大変広く放射線作業従事者の治療台へのアクセスが容易でした。

位置照合システムは、サブトラクション(リファレンス画像とカレント画像との引き算)法を用い1画面で視覚的に位置ずれを確認・計測します。この方法は、操作者にとって非常に分かりやすく実用的なシステムであると感じました。
NCC東では臨床試験の最中であり、患者数も少ないことから、一連の治療のながれについて見学出来なかったのは非常に残念でしたが、ガントリー治療、特製のウォーターカラムを使用した日々の線量分布の確認や位置照合システムなど、我々Hyogoにとって参考となる点が多く、有意義な研修でした。
○放射線医学総合研究所
(NATIONAL INSTITUTE OF RADIOLOGICAL SCIENCES:以下NIRS)
 NIRSでは、1994年6月に世界で初めて医療目的で建設された重粒子加速器(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba;以下HIMAC)を用いて、重粒子線(炭素線)による癌治療臨床試験が開始され、現在年間約200例もの治療が行われています。

HIMACは同時に2ポート(水平+垂直)のビームを使用でき、一部分に故障が起こっても治療を中断する事の無い様に、同一の機器構成を持つ2つのシンクロトロンリングを備えていました。
また、治療室は3室あり、A室は垂直照射専用、B室は水平・垂直照射が可能で、C室は水平照射室で座位治療も行えるように設計されていました。

NIRSでの重粒子線治療は、固定具作成から治療に至るまで約10〜14日間必要で、作業も細分化、専門化され、それぞれの部門で職人芸如き内容でした。
その過程は、まず、患者さんが治療中同一の体位を再現できるように固定具を作成します。
これらの作成方法には詳細なマニュアルが存在し、現在の型に落ち着くまでには様々な試行錯誤があったのだろうと思いました。

次に位置決めCTを撮影した後、治療計画が立てられます。1つの照射野に収まらない時や重要器官に近接した不整形腫瘍に対して複数の照射野をつなぎ合わせるパッチフィールド照射法を用います。その為、治療計画はポート数の増加と複雑かつ高度な計画が要求され、ハード・ソフト的に改良していく必要性を感じました。
NIRSの技師の皆さん AECの皆さん 治療ホールにて
NIRSの技師の皆さん AECの皆さん 治療ホールにて
 その後、治療討議で承認が得られてから、初めてターゲットの輪郭を表すテンプレートやボーラス・コリメータを作成します。
テンプレートは、1ポート当たり30分、ボーラス・コリメータについては1個作成するのに1〜15時間かかり、その出来上がりはまさに芸術品でした。
テンプレート作成後、リハーサルを経て治療が行われます。
リハーサルは、治療時の位置決めに用いる参照画像を得る為のとても重要な検査です。
位置決め精度が±1mm以内という非常にシビアに設定されている点と、一人平均4ポートの参照画像を得なければならない点で、患者さんは2時間もの間固定を余儀なくされる事もありました。
担当技師の斉藤さんが、リハーサル前に時間をかけて患者さんに説明していたのがとても印象的でした。

治療では、リハーサルほど時間はかからないものの、一人約30分必要でその大半はやはり位置決めに費やされていました。
位置決め担当の技師の方々は、妥協せず患者さんの様子を観察しながら黙々と治療をこなしていました。以上が患者さんを中心とした治療までの流れとなります。
 一方、治療ホールではAEC(AccelarateEngineering Company)の方々が、機器のメンテナンスをはじめ、治療制御機の操作や線量測定などを行っていました。1日の治療室使用時間の約3分の1は、エネルギーの切り替えやそれに伴う線量測定などに使用されていました。Hyogoではシンクロトロンのリングが1つで核種の変更も必要であり、如何にそれぞれの切り替え時間を短縮できるかが今後の課題と考えます。 
NIRSの研修で重粒子線治療が多くの時間と労力を必要とすることを痛感しました。また、様々な職種の方と仕事をする上で、チーム医療の大切さを学びました。
○最後に Hyogoでは、NCC東の陽子線を使用したガントリー治療と、NIRSの炭素線を使用した固定ポート治療の両方を備えています。その点から両施設で実際の粒子線治療を見れたことは、私自身大いに勉強になりました。

今後、今回の研修を糧にして、施設立ち上げに尽力したいと考えています。
最後に、研修に当たって快く迎え入れて頂いたNCC東の荻野先生、福島技師長を始め、陽子線担当の沼野さん、勝田さん、また、NIRSの辻井先生、坂下技師長を始め、技師の方々やAECの方々に心から感謝いたします。

IV 最新治療情報

(資料)放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療臨床試行状況

放射線医学総合研究所では、平成6年6月から「重粒子線がん治療臨床試行」を開始し、平成12年2月までの5年8か月の間に745例の患者さんが登録されました。これまでに登録された745例(765腫瘍)のプロトコール別・照射期別患者数は次表のとおりです。
重粒子線治療患者数(平成6年6月〜平成12年2月)  (単位:名)
部位 第1期 第2期 第3期 第4期 第5期 第6期 第7期 第8期 第9期 第10期 第11期 第12期 合計
頭頸部 3名 4名 5名 5名 - - - - - - - - 17名
中枢神経 - 6名 4名 4名 1名 9名 4名 2名 2名 7名 3名 4 46名
肺腫瘍 - 6名 7名 4名 11名+1 16名 4名 2名 4名 - - - 54名+1
舌癌 - 2名 - - - - - - - - - - 2名
肝細胞癌 - - 5名 7名 6名 7名+1 - - - - - - 25名+1
前立腺癌 - - 2名 7名 8名 10名 5名 3名 - - - 35名
子宮頸癌 - - 3名 6名 3名 10名 5名 4名 - - - 31名
総合研究 - - 8名 16名 7名 9名+1 15名 15名 8名 9名+2 16名+1 16+2 119名+6
骨・軟部 - - - - 2名 7名 6名 7名+1 10名+2 9名+4 9名 9 59名+7
食道術前 - - - - - 1名 2名 3名 1名 - - 7名
食道根治 - - - - - - 3名 8名 1名 2名 - 14名
頭頸部 II - - - - 8名 11名 - - - - - 19名
頭蓋底 - - - - - - 3名 3名 1名 3名 - 2 12名
頭頸部 III - - - - - - 17名 14名 10名+1 12名 15名 23 91名+1
肝細胞癌 II - - - - - - 7名 12名 15名 10名+2 9名+1 8 61名+3
肺腫瘍 II - - - - - - - 11名 11名 13名 - 35名
子宮頸癌 II - - - - - - - 2名 3名 2名 6名 2 15名
前立腺癌 II - - - - - - - 2名 16名 14名 9名 21 62名
子宮腺癌 - - - - - - - - 2名 3名 1名 2 8名
肺 III - - - - - - - - - - 2名 4 6名
肺 IV - - - - - - - - - - 12名 15+1 27+1名
合計 3名 18名 34名 49名 46名+1 80名+2 71名 88名+1 84名+3 84名+8 82名+2 106名+3 745名+20

<注:+は同一患者の2病巣治療。従って、総治療病巣は「765」>       放医研のホームページより

1期 H6.6〜8 7期 H9.4〜8
2期 H6.10〜H7.2 8期 H9.9〜H10.2
3期 H7.4〜8 9期 H10.4〜8
4期 H7.9〜H8.2 10期 H10.9〜H11.2
5期 H8.4〜8 11期 H11.4〜H11.8
6期 H8.9〜H9.2 12期 H.119〜H12.2

成人病センター職員見学(連携に向けて)

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)  

主査(診療準備担当)  須賀 大作  

 県庁にて成人病センター坪田副院長をお見かけして声をかけさせていただきました。
先生とは、成人病センター在籍中にリニアック治療、MR検査を通して仕事をさせていただいたばかりでなく、コンピュータを通して親しくお付き合いをいただきました。
ウィンドウズ一筋の私と違い、先生はウィンドウズとマックのバイリンガルの道を進まれました。
今でも近況を報告したり、励ましをいただいたりしています。先生の医療への厳しい姿勢と気さくなお人柄に惹かれるところです。
粒子線治療も平成13年度の治療開始へ向けて、成人病センターとの連携も具体化をしていく時期となります。
「先生、一度見学に来てください」とお話ししたところ、お別れして間もなく「見学を募って行きます」とメールが届きました。
4月より加速器のビーム調整が順調に進められており、作業の合間と見学いただく先生方の都合とを考慮し5月20日(土)に見学することとしました。
当日は休みにも関わらず平馬局長、桶屋看護部長はじめ9名の見学をいただきました。
粒子線治療センター(仮称)の工事進捗状況はニュースレター、ホームページで報告していますが、12,000m2の建屋面積が「粒子線治療装置」を設置する"器"であることは、実際に目にする以外に実感することはできません。
最大壁厚3m50cm,ビームを垂直と45度に振り下ろすための輸送系では天井壁厚2mと粒子線治療施設は中性子線、γ線を遮蔽するためにコンクリートの要塞と化しています。見学コースは、加速器制御室、イオン源室、線形加速器室、シンクロトロン室、ビーム輸送系、ガントリ室を含む照射室を、あたかもビームの流れを辿るように設定しました。
ビームが17mの高さに持ち上げられる輸送ラインの建屋バックに記念撮影
ビームが17mの高さに持ち上げられる輸送ラインの建屋バックに記念撮影

17mの高さに持ち上げられるビーム輸送系の頂上では、高さと急峻にビームを偏向できないという粒子の重さを実感していただきました。
また照射室では、10m直径、10m径の100トンを超えるガントリを真下から見ていただき、一昔前では、陽子線の施設をシミュレーションした時に、その大きさから非現実的と判定されたのもうなずける規模を感じていただきました。

1時間30分を超える見学コースを終えた後の感想は、やはり粒子線装置の大きさと治療が開始された時の状況に話が及びました。
我々の施設は、がん治療の一環を担う施設であり、患者受け入れ、予後管理を成人病センター等で行うことから、具体的な連携のあり方について検討が本格化すると思われます。
出きる限り多くの成人病センター職員に見学をしていただき粒子線への理解を深めていただきたいと思います。

見学後、坪田副院長よりこの秋にもう一度見学の機会をつくりたいとの手紙をいただきました。
秋には炭素、陽子線が終端となる治療室へ到達し、物理測定も進んでおり、隣接する病院棟工事も完成に近づきその容姿を現している時期でもあり、より治療開始に近づいた状況を見ていただけることと思います。
施設、設備が整い治療開始に向けてのソフト(病院機能)の準備こそが大変だねと、困難さの本質をご指摘いただき見学会を終了しました。

現地だより

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)    
技術吏員(診療準備担当) 清 水 勝 一  

6月13日〜15日に実施した、自主検査について報告します。
検査内容は、【1】照射治療棟の放射線遮へい力を評価する漏えい線量測定、【2】加速器からの出力が科学技術庁の許可どおりであることを確認する出力測定、【3】加速器の使用量を管理するシステムの動作確認の3項目でした。
この中で、最も作業量が多かったのが施設の漏えい線量測定でした。加速器や照射室のある照射治療棟の1階部分を測定するだけでも一苦労でしたが、2階外壁面やビームライン頂上付近での測定には高所作業車を用いるなど非常に大掛かりな作業となりました。施設全体で測定点が約50点と多く、1核種についてすべての項目を確認するのにほぼ1日を費やしました。

ビームライン頂上付近での測定
2階外壁面での測定
ビームライン頂上付近での測定
2階外壁面での測定

当施設の加速器は、プロトン(H)、ヘリウム(He)、カーボン(C)の3種類の核種を加速することが可能であるために、自主検査は合計3日間となりました。
現地の職員全9名やメーカー調整員の協力により、すべての検査項目について「良」と評価できる結果が得られました。
今後は、原子力安全技術センターによる施設検査を受け「良」と評価されれば、治療開始に向けての加速器の調整や線量測定等の作業が始まります。
放射線遮蔽に関する安全確認のための自主検査も無事に終了し、科学技術庁による安全検査を受ける準備をしています。

現地見学者の状況
 平成12年4月から6月末までの現地見学者の内、把握している人数は96名でした。
その内、主な見学者と内訳は以下のとおりです。
これから、夏休みを利用したセミナー等、数百人規模の見学者を迎える予定です。
・4月14日
C.Streffer 前エッセン大学教授夫妻  2名
・5月20日
県立成人病センター           10名
・5月26日
理化学研究所他              9名
・6月6日
洲本商工会議所工業部会        30名

人事異動の状況
 平成12年3月から6月までの人事異動の状況は、以下のとおりです。
心機一転がんばりますので、よろしくお願いします。
転  入

平成12年4月
・主査(診療準備担当)      坂井 洋登
(県立高齢者脳機能研究センターより)
(※平成12年6月より現地駐在)

・主任(整備担当)       上村 治三
(商工部産業立地観光課より)

・技術吏員(診療準備担当) 矢能 稔啓
(県立塚口病院より)
(※平成12年6月より現地駐在)

・奥田 千絵(臨時職員)

・寺本 美和子(臨時職員)
現地駐在

平成12年4月

・技術吏員(診療準備担当) 清水 勝一

平成12年6月

・主査(診療準備担当)    須賀 大作

・主査(同)             井田 亮二
 平成12年7月

・主査(診療準備担当)    香川 一史


退  職

平成12年3月

・大原 ますみ(臨時職員)
・帯刀田 祥子(臨時職員)

編集後記
 今回初めて編集を担当することになりました。整備担当の上村(コウムラ)です。
4月に商工部より異動してきたばかりで、病院事業は初めてなため、なにぶん不慣れで不適切なところもあろうかと思います。
今後とも、ご意見、アドバイス等お待ちしております。

当ニュースレターに関するお問い合わせは、下記までお願いします。

〒679−5165
兵庫県揖保郡新宮町光都1-2-1
 phone 0791-58-0100  fax 0791-58-2600
県立粒子線医療センター院長 菱川 良夫

ML12 y.hishikawa@hibmc.shingu.hyogo.jp


兵庫県立粒子線医療センター