兵庫県立粒子線医療センター
ニュースレターNo.18
November 2003
CONTENTS
■□ 県立粒子線医療センターの一般診療開始を開始して
■□ 一般診療開始
■□ 陽子線治療の一般診療開始半年間の現状
■□ 機器<危機>に学ぶ
■□ 一般診療開始から7ヶ月がたって
■□ 「テニスクラブ」活動記
■□ 新調理システム(クックチル)の導入による食事サービス
■□ 第1回病院運営懇話会を開催
■□ 粒子線治療Q&A
◆◇ 患者受入状況 (平成15年4月〜10月) ◇◆
県立粒子線医療センターの一般治療を開始して
兵庫県病院局長 垣 内 秀 敏
兵庫県では県民の安心で安全なくらしの実現のために、QOL(クオリティ・オブ・ライフ〜生活の質〜)を重視した最先端の高度ながん治療法をめざす全国自治体初の施設として平成13年に県立粒子線医療センターを開設し、約2年の臨床試験を重ね、本年4月一般治療を開始しました。
*県立粒子線医療センター基本理念*
1.がんの治癒率を改善するとともに、がん患者の社会復帰を目指す
2.比較的早期の原発がんを第一の適応とする
3.病院らしくない病院にする
4.世界に開かれた病院にする
5.世界に向けて新しい粒子線治療の情報発信地にする
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治療開始から6ケ月ではありますが、この基本理念に基づいた成果を着実にだしております。
治療
粒子線治療に関する相談件数は、1か月平均280件、治療患者数は154人(9月まで)。住居地別では、県内101人(66%)、県外53人(34%)であり、県外の内訳は、近畿地方26人、九州・四国・中国・中部・関東・東北地方27人と全国に及んでおり、県立粒子線医療センターが目指している最先端の高度な治療法に対する県民のみならず全国民の期待の大きさを改めて認識しているところです。
また、10月には1日照射件数が50件となり、当初想定していた件数を上回りましたが、このすばらしい治療法を一人でも多くの県民の皆さんに受けていただけるよう、必要な体制を整備し、位置決め時間の更なる短縮化や装置の稼働時間の延長を図っていく必要があると考えております。
療養環境
自然あふれる西播磨の地に、一見リゾートホテルを思わせる建物、一歩足を踏み入れると、開放的で明るく、穏やかな雰囲気が漂うロビー、4床病室の通路側ベッドの枕元から窓越しに見える庭園、治療や検査の合間の散歩、テニス、インターネット検索、ビデオ鑑賞、野菜作りなど自然と笑顔がふれあい、ぬくもりのあるプライベート空間を実感することができ、患者さんにとって最高の療養環境を整備することができたと自負しております。また、退院された方から、「多忙な仕事人生の中で、最高の自然の中で療養し、初めてののリラックスタイムを得ました」と好評の言葉をいただきました。
世界への情報発信
昨年「国際粒子線シンポジウム」を開催し、世界各国から放射線治療専門家の方を招待し、熱心な議論が展開されました。
今後、炭素線治療も実施する予定となっており、7月15日には炭素線治療優先審査の採択を得たところであり、炭素線の一般治療を開始すると、陽子線と炭素線の双方を使用する世界初の医療機関となり、県立粒子線医療センターが世界各国の注目を集めることは想像に難くありません。
今後も、「かけがえのない生命を守る」施設として、治療対象疾患の拡大、治療効果の更なる向上に努めることはもとより、全国に粒子線治療の効果を発信し、粒子線治療が『がん治療の選択枝のひとつ』として県民のみならず全国の方々の期待に応えることができるよう、更なる努力を重ねてまいりたいと思っております。
院長 菱 川 良 夫
はじめに
2002年末に陽子線治療が承認され、この4月から陽子線治療の一般診療を開始しました。治療の対象部位は、臨床試験の実績に基づき、頭頸部がん、肺がん、肝がん、前立腺がんとしていますが、それらの治療基準は、外科や泌尿器科などの専門家に参加していただいた専門部会で決めました。年齢や、がんの大きさで少し治療基準に外れる場合は、成人病センター内に設置した治療方針検討会議で、患者さんの強い希望や治療の妥当性を検討し、最終的に治療をするかどうかを決めています。この10月末までに180例近い症例の受け入れをましたが、先行する国内の粒子線治療施設と比べると、初年度とすればとんでもない数字です。
一般診療の特徴
費用負担があることから、一般診療の患者さんでは、自分の病気を良く理解し、また良く勉強されている方が多いようです。初診時か入院時に、私が、以下のような説明を致します。1)当センターは、粒子線治療に特化した病院なので、治療前や治療後の検査は紹介元でして頂きます。2)粒子線治療には、陽子線治療と炭素イオン線治療の2種類があります。3)治療の概略。以上の説明の後、1週間の治療準備の入院をしていただきます。この間に、担当医からの詳細な病気や治療法の説明、看護師、放射線技師からの補足説明の後、同意を頂いた上で治療を行います。治療開始後は、通院も可能です。
安全で正確な治療
安全な治療をするためのシステムを当センターでは作り上げています。1)治療計画:治療の専門である医師が、責任を持って治療計画をします。2)カンファレンス:毎日、治療計画の妥当性について、医師、放射線技師、医学物理士、看護師参加でカンファレンスをし、妥当であれば、私が承認します。3)治療計画の転送:カンファレンスで承認された治療計画は、コンピュータにより、病院側から治療棟に転送されます。毎日、転送の確認を加速器技術者が行っています。4)新患測定:毎日、治療終了後、加速器技術者によって、すべての新患の治療線量を水ファントムで測定し、照射線量の測定値を決定します。それを放射線技師が再チェックしています。5)標準測定:毎日、治療開始前の6時から、当日の加速器の出力値を測定し、新患の測定値を補正し治療線量を決定します。これも放射線技師が再チェックします。6)治療直前の線量補正:大気圧などにより、微妙に線量を補正する必要があり、全例治療直前に放射線技師が行っています。7)治療:治療を専門とする放射線技師が責任を持って行います。
このようなシステムができており、天気が悪くても良くても、加速器の状態がどのようであっても、正しい線量を正しく照射できるようにしました。
チーム医療
当センターでは、チーム医療で治療を行っていますが、その根本は情報の共有化です。そのため、電子カルテを使用し、毎日カンファレンスをしています。情報の共有を進めることにより、自然にチーム医療が出来上がってきます。
コラボレーション
良い医療のためには、医療サイドだけではできません。患者さんや装置メーカーとのコラボレーションが必要になります。雷が鳴って5月には、装置が止まりましたが、10万の部品からなる装置のたった1つの部品が、雷による影響で壊れていました。メーカーの迅速な対応で、数時間後に復旧しましたが、昼の治療が夜遅くの治療となりました。患者さんの協力の下に、治療ができましたが、まさにコラボレーションであると実感しました。従来、医療サイドだけで、医療の改善を進めてきましたが、高度な医療になればなるほど、患者さんやメーカーなど、その医療に関係する方たちの協力が必要になります。
楽しい治療
当センターでの治療は、痛みもない楽な治療です。ある患者さんが、我々は、閑者ですよと言われましたが、その通りです。これは患者さんが、闘病するのに、閑者さんは、闘病せずに日常生活の延長上でがんが治ることによります。4月からの入院患者さんを見ていると、野菜作りは、春から始まり今も続いていますが、その他、ゴルフ、ハイキング、テニスといろいろな楽しみを持ちながら治療を受けておられます。また、新しく入院された方に患者さんの立場で粒子線治療を説明していただき、医療スタッフにとっても非常な助けとなっています。
おわりに
当センターの医療は、順調なスタートを切り、従来とは違う明るいがん治療が実現されています。医療スタッフは、気を引き締め、患者さん、メーカーとのコラボレーションを進めることで、今後もより良い医療を目指していきたいと考えております。
陽子線治療の一般診療開始半年間の現状
放射線科長 村 上 昌 雄
2003年4月から陽子線治療の一般診療が始まりました。治療の対象は頭頸部、肺、肝、前立腺の限局した腫瘍です。肺・肝に関しては孤立性の転移がんも治療対象にしています。個々の疾患に対する適応や治療の詳細、治療開始までの手続きについては、前号のニュースレターや当センターのホームページをご覧ください。ここではこの半年間で陽子線治療を受けた患者さんの背景、治療後の経過観察の現状につきご紹介いたします。
●どのような患者さんが治療を受けているのか?
4月から9月までに146名の患者さんに陽子線治療を行いました。疾患の内訳では前立腺癌が113名(77.4%)と大半を占め、次いで肝がん13名、肺がん9名、頭頚部がん5名、肝転移5名、肺転移1名でした。前立腺がんが多いため男性が大多数(93%)を占めていることが特徴です。また年齢は40歳から89歳までに分布し、平均70歳でした。陽子線治療は高齢者に優しい治療であることが窺えます。
患者さんの居住地は兵庫県が最も多く約2/3でした。近畿地方在住者が8割以上を占めますが、一方、約2割の患者さんは関東から九州まで広く遠方からこられています。治療期間は最短の肺・肝転移癌2週間から最も日にちのかかる前立腺がん8週間まで疾患の種類で異なりますが、全経過を通じて、外来通院で治療された患者さんは39名(27%)で、遠方は大阪から通院されていた方もおられます。また入院治療の患者さんも、治療の無い週末は大半が外泊されています。このように陽子線治療は治療中も体に大きな負担がかからず、普段の生活を維持したまま治療を受けられます。
●来院動機はなにか?

粒子線治療は新しいがん治療法です。粒子線治療をお知りになった理由をみて見ますと、新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディアが4割と多く、次いで医師の情報提供が続きます。知人紹介の中では、粒子線治療を受けられた患者さんからの紹介も増えつつあります。インターネットで情報を自ら積極的に収集して、来院される方が増えてきているのは最近の情報化社会を反映した特徴です。
●患者カルテ(自分のカルテ)と経過観察について
がん治療の場合、治療を受けたあと5年から10年間は順調に経過しているかどうか、逐次チェックすることが肝要です。当センターの治療後も経過観察は厳密に行います。ただし場所が都心から離れ、患者さんは全国から来院されるという事情がありますので、基本的には当センターへの定期受診は省略し、文通の形で行います。すなわち、すべての検査は紹介元の病院で行っていただき、治療終了時にお渡しする患者カルテ(治療内容や検査結果を写真も含めて経過を追って記録したもの:自分のカルテ)とともに郵送していただき、当方で患者カルテを更新して返送します。現在、ご紹介元の総計82病院の先生方と、治療後の共同診療をさせていただいており、すべての患者さんから連絡をいただいています。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
機器<危機>に学ぶ
医療部放射線科 主任放射線技師
須 賀 大 作
4月7日、陽子線治療の本格稼働が始まった。2年間の医療用具申請のための臨床試験を越えての開始に大きな感激を覚えた。装置は10万点以上のパーツから構成され甲子園球場のグランド面積に匹敵する広さを有する。病院の中に医療機器があるという何でもない概念をいとも簡単に覆し、装置のための建物を要し、その壁厚は最大で3.5mとなる。縦横無尽のネットワークで結ばれたシステムが、正確に連携して治療精度を支えている。そこには目に見えない人と人のネットワークが確実に存在している。その規模もまた想像を超える。
8時50分、治療ホールには放射線技師、物理技師、加速器技術者が集まる。この時間までに装置の立ち上げ、点検、標準測定、線量確認が各技師の協力のもと終了している。朝礼では1日の治療予定数、リハーサル、新患者測定、カンファレンスでの承認の数を確認し、照射系と加速器系の状態説明、問題点が報告される。この朝礼も3年目を迎えている。内容は変わらない、けれど顔ぶれは大きく変わっている。粒子線治療に意欲を持つ若い技師、技術者が増えたことは頼もしい。出席しなくなった人も装置保守の技術者として控えてくれている。治療開始も人のネットワークから始まっている。
1日治療数40名を目標として開始し、5月21日に40名に到達することができた。治療件数の向上が我々に課せられた責務であることは、装置立ち上げの時期から合い言葉のように繰り返してきている。機器の能力を最大限生かすための改善策を考えた。コースを切替える時間が長く、短時間に位置決めが終了しても照射待ち時間が発生した。加速器技術者の熱意によって5分以上かかった切り替え時間が2分弱に短縮できた。治療の準備を整えてからの5分の待ち時間は、治療時間の延長はもとより固定された患者さんには倍にも感じられる時間である。さらに照射系技術者が治療の進行状況を監視し、終了間近の治療室を見極めてコース切り替え指示を加速器技術者へ出すという連携を行っている。
治療室での技師2名は、決して同じ動作をすることなく位置決めから治療へと作業を進めていく。患者さんの固定方法は事細かく記載されたラベルをもとに行われ、時間短縮と精度を両立させた。治療情報を記載したテックファイルは随所で効果的な資料となっている。様々な治療時間短縮化への取り組みは、2年間の臨床試験の中で、装置と関わりながら作り上げてきた。装置を受け入れ、そこに人の手と知恵を加えることで、装置能力が高まることを我々は学んできた。
1日治療数が40名に達してから4ヶ月後に50名の治療件数をクリアすることができた。この実績は何より国内で粒子線治療を実施している関係者が喜んでくれている。けれどこれで限界ではないはず、まだ知恵を出していくことがあると確信する。
装置調整から今までを子育てと置き換えてみると妙に納得できる。24時間体制で障害改修に取り組んだ時期もあった。ようやくよちよち歩きが出来る時期となったのか、成人したのかを評価するにはまだ時間が必要である。装置に手がかかること、それは前ぶれなくやってくる故障である。4月順調に滑り出した治療も、この6ヶ月に2度のダウンに見舞われた。障害時の対応の中で、装置は故障するものと理解する我々と、先端技術の結晶である装置が故障するわけがないと思われる患者さんとの意識の違いを痛感した。障害が発生すると同時に、技師の業務は連絡調整係に切り替わる。外来患者さんへの連絡、関係部署への連絡、障害復旧の予想時間の判断など短時間に処理しなければならないことが次々とある。機器と危機の管理が患者さんとの信頼関係を決定する。障害時は例えようのない緊張感を覚える。しかしこのような状況でも、我々の一体感を常に感じることができる。装置を隔てて対峙する加速器側と照射系側のスタッフが、早期復旧に向けて瞬時に作業をスタートさせていく。目に見えないネットワークで繋がっていることを感じる。軽いと思う障害が実は重かったり、これは時間がかかると思う障害が短時間に復旧したりと見事なまでに期待を裏切る装置である。やはり先端技術の装置が故障してはならないとする患者さんの意見が正しいと思う。思わなければならない。そのために装置の保守と点検を強化し、障害の発生防止に努めなければならない。これもまた人と人との作業である。
装置によって悔しい思いをしたり、感激したり、喜んだりしてきた。危機によって、接遇の難しさを感じたり、連帯感を感じたりしてきた。機器によって学ぶことは多い、学んだことを生かすことで、安全で高精度の治療をより多くの方に受けて頂けると思っている。
一般診療開始から7ヶ月がたって
看護科長 目 尾 博 子
2年間の治験を終え、一般診療開始となった平成15年4月1日に2名の患者さんを迎えた。その間10月末までに178名の患者を迎え、通院治療患者を含め125名が治療を無事終了された。看護師にとって退院時に、患者さんやその家族又それを見送る患者さんの笑顔が何よりもうれしい。秋晴れの中退院される方を玄関まで見送りに出られた患者さんの「入院の時は、薄い靄がかかっていたが・・」との言葉に、靄は何かと尋ねてみた。がんと告知されたショック、本当に治るのか? 粒子線とは何だろう? 副作用は少ないと聞いたが苦しくないのか? 転移するのではないか? 家族の生活は・・、新しい環境に対する緊張 等等・・。
患者さんは紹介元病院で既にがん告知がされており、自ら粒子線治療という新しい治療法を選択して入院される。
近頃、「インフォームドコンセント」「臨床倫理」という語をよく使用するが、これらは「自己決定の原則」が根底にある。看護科は「患者の医療に対する自己決定への支援とともに、自己の選択が良かったと思える結果が得られるような看護援助」を提供することを目標にしている。
又、患者さんは治療終了後、紹介元病院に通院し経過観察を受けることになっている。紹介元病院の看護師に治療経過等情報を提供し、患者さんが継続した看護が受けられるよう支援することも役割の1つである。治療後もがんサバイバーとして積極的に生活できるよう、セルフケア能力向上への支援も入院期間中の看護の役割である。
当センターでは、患者さんが治療に主体的に参加できるよう患者用クリニカルパスを作成し“日誌”と名づけて入院時手渡している。予測される急性反応、観察項目等を表記し患者さん自身がチェックでき、又治療経過に沿って患者と共に目標をあげ評価している。日本シリーズ阪神2連敗の後甲子園に帰っての3戦目の翌日、患者の“日誌”のフェイススケールの欄には“ニコニコマーク5”が並んでいた。
当センターの患者さんは、自らの病気を受容し、まだ世間にはあまり知られていない粒子線治療を、インターネット等で調べて治療法を自己決定する等、知識、精神的、経済的、又症状としても自立している人が多い。しかしがん告知を受けることはその人の人生観を変えることでもある。大きな社会的役割と責任を担って自己の健康を顧みることもなかった多くの患者さんが、アガリスク・プロポリス・サメの軟膏・針灸・気功・・・等民間代替療法を入院前に体験している。
また、ある患者さんは「がん告知を受けた時でも、妻をいたわり自分でも驚くほど平然としていた。受容しているつもりでいたのに今なぜ涙が出るのだろう」と入院の夜看護師に気持ちを吐露した。患者さんの思いは深い。
入院1番目の患者さんから“笑顔と誠実さと優しさに包まれて”と題したお手紙を頂いた。「看護師さん・・・程よく甘えて穏やかな日々を・・」とあった。「程よく甘える」。長い看護師生活の中で患者さんから頂いたはじめての言葉であった。自己を尊重し、自立し、受容した関係で初めて程よく甘えることができるのではないだろうか。心に残る言葉であった。
程よく甘え、甘えられる関係が築けるよう看護師一同、専門的知識・技術の向上と共に、教養を高め人間性を磨いていきたい。

「テニスクラブ」活動記
2ヶ月コース入院患者記 77才 男
新宮盆地の一角を占める当センターは、紅葉が美しく秋たけなわである。
西日本一を誇る設備は、年末を控えフル回転の様子。そうした自然と超近代的医療設備の中に、附属のスポーツ施設があるのに驚いた。素晴らしいテニスコートである。利用状況を紹介しよう。
一見公園のような芝生や遊歩道、紅葉の木々に囲まれて、人工芝のグリーンと白線が目にしみるテニスコートである。排水にも高度の配慮がなされ、雨水の溜まることはない。
そこでいよいよ肝心のプレーヤーの登場であるが、対象者は全て1〜2ケ月の治療のため入院中の患者の集団で、50歳以上の高齢者が多い。1人ではどうにもならないので相手を探したところ、全くの素人ながらやる気の、同日入院、同病の某氏を見つける。
早速、手持ちのラケット、中古ボールでコートに出る。久しぶりで心が躍る。相手も卓球の経験があり何とかラケットに当たる。2人の姿を見て、1人、2人と同好者が現われ、たちまち数人のグループとなる。
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朝霧の中、早朝テニス(AM6:30〜) |
現役は上級者のN氏と老骨の私のみ。他は若い頃の経験者。しかし結構上達が早く、早速ゲームもできるのにビックリ。
治療の都合もあって早朝が好都合ということで、午前6時半から第1回目、午後4時から第2回目で、1日2回可能。
初心者をやさしくカバーし、上級者同士は強力に打ち合う。適当にお互いをかばいあいながら楽しく続けることができて、もう既にコート上26回を数える。ちなみにその間治療回数は21回を終わったばかり。
1日30分前後の照射治療を除くと、全く日常生活と何ら変わりなく過ごす事ができる。むしろ10時消燈の睡眠8時間前後、3食の食事管理、健康管理は、日夜とも専任の医師の先生と看護師さんの手厚いチェックで良好に保たれている。
2ケ月治療コースの場合、年末完了が組み込まれ残すところ少ないが、朝夕コートに出て数人の仲間とコート狭しと走り回りタップリ汗を流す。そのさわやかさは格別。1日中湯の出るシャワーのサービス、快適で全て申し分ない。感謝、感謝。
尚、O.B会(仮称)の話も一部には出ていて、時々当地に集合してその後の健康を確かめ合い、旧交を温めたいが、このことは後継者の判断を待ちたい。(後記)
新調理システム(クックチル)の導入による食事サービス
株式会社 日米クック神戸
当社は県立粒子線医療センターが平成13年5月から今年4月に本稼働になった現在まで食事サービス面を担当させていただいています。
食事提供にあたり、県下では初めてのクックチルシステム(ISO9001認証収得)を導入をさせていただきました。
クックチル製品については本社があります神戸市内のセントラルキッチンより週2回の配送で対応しています。製品につきましては製造日より5日間対応が出来ます。
また、サテライトキッチンにおきましても一部、調理をしています。
クックチルの特長と現地調理の新鮮さを十二分に発揮し、患者様へのサービスアップを心掛けるとともに、患者様全員が食堂喫食でありますのでコミニュケーションをとりながら楽しい食事時間を過ごしていただき病院の主旨に少しでも役立てばと思っています。
食事内容につましては月1回の行事食の実施し、地場特産の揖保の糸そうめんなどを取り入れたり、一人用鍋を使用したよせ鍋・石狩鍋・うどんすき・パンバイキング等を実施し、大変好評を戴きました。
今後も当社の企業理念であります「食事は愛」のもと真心のこもった家族的な食事を提供できますよう社員一同心掛けております。
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寄せ鍋 |
パンバイキング |
第1回病院運営懇話会を開催
病院運営に当たって、県民の多様な意見を求め、県民の医療ニーズを的確に反映させる為に、第1回病院運営懇話会が開催され、活発な議論が交わされました。
開催日時 |
平成15年8月6日(水) |
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15時15分〜17時15分 |
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主な内容 |
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○懇話会の会議の公開について
原則として公開する事が決定
○粒子線治療料の保険適用について
患者負担軽減のため、保険診療への早期移行について関係機関へ、要望すべきである。
○県立成人病センターとの連携について
現在、県立成人病センターに「放射線医療室」を設置し、粒子線治療の受付窓口として粒子線治療基準の適応判定、粒子線医療相談を行っているが、将来的には成人病センターを通さなくても、例えば西播磨地域の医療機関で検査して治療してもらえるシステムは考えられないのか。
○粒子線治療の広報等について
粒子線治療の適応等について、十分に広報してほしい。又、懇話会委員としても院長にお願いして、市民講座等を活用したPRをすべきである。
県立粒子線医療センター運営懇話会委員 |
氏 名 |
役 職 名 簿 |
大井 潤子 |
兵庫県看護協会 看護管理者資格認定
特別委員(公立宍粟総合病院看護部長) |
高宮 一代 |
兵庫県連合婦人会 常任理事 |
津田 蔀 |
兵庫県連合自治会 副会長 |
西田 正則 |
兵庫県市長会 副会長(龍野市長) |
吉井 弘 |
兵庫県老人クラブ連合会 会長 |
邉見 公雄 |
兵庫県病院協会 副会長
(赤穂市民病院長) |
八重垣m司 |
揖保郡医師会 会長
(八重垣病院長) |
粒子線治療Q&A
患者受入状況(平成15年4月〜10月)
1.受入患者数 |
178名(平均年齢69.9才) |
2.住所地別内訳 |
県 内 113名(63%)
県 外 65名(37%)
(内訳 近畿地区 34名、中国・四国・九州地区 19名、中部地区 8名、関東・東北地区 4名) |
3.部位別患者数 |
前立腺 |
137名 |
(77%) |
肝 臓 |
20名 |
(11%) |
肺 |
14名 |
(8%) |
頭頸部 |
7名 |
(4%) |
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4.その他 |
10月末現在で照射を終了した患者数は125名です。 |
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