| 日本語 | ENGLISH 文字の大きさ: 
トップページへ


News Letter
第27号
第26号
第25号
第24号
第23号
第22号
第21号
第20号
第19号
第18号
第17号
第16号
第15号
第14号
第13号
第12号
第11号
第10号
第09号
第08号
第07号
第06号
第05号
第04号
第03号
第02号
第01号


兵庫県立粒子線医療センター

ニュースレターNo.2
March 1997


CONTENTS

ニュースレター目次

「ニュースレター」に寄せて ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

県立粒子線治療センター(仮称)の整備について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥2

県立粒子線治療センターの整備計画‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
1.特徴‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
(1) 放射線科の医療機関‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
(2) 陽子線治療及び重粒子線治療の実施‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
(3) 県立成人病センター等との機能連携 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
(4) 大型放射光施設(SPring−8)の医学利用との連携‥‥‥‥‥‥ 2

2.施設の概要‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
(1) 建設地‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
(2) 施設内容‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
(3) 事業計画‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3

3.他の医療機関との連携について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

(1) 治療基準の作成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
(2) 粒子線治療利用者会議(仮称)の設置‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3

(参 考) 県立粒子線治療センター(仮称)完成予想図 ‥‥‥‥‥‥‥4
粒子線治療装置イメージパース ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5

トピックスニュース
♪ 県立粒子線治療センター(仮称)建設委員会開催される。‥‥‥‥ 6
♪♪ 播磨科学公園都市はドイツの森に似ている。 ‥‥‥‥‥‥‥‥6
♪♪♪ 播磨科学公園都市まちびらきフェスティバルの概要決まる。‥ 7


「ニュースレター」に寄せて

 県では死亡原因として増加が著しい"がん"に対して、1987年(昭和62年)ら「ひょうご対がん戦略」に基づく各種施策を行ってきましたが、この推進の中で肝がん・肺がんなどに優れた効果と機能保持の利点をもつ陽子線の放射線治療の調査・研究を開始しました。1990年(平成2年)から県立成人病センターで始めた調査で、自治体で初めてとなる、巨大"がん"治療プロジェクトについて、

【1】 陽子線治療の適応症例数
【2】必要とする施設・設備・マンパワー
【3】 治療技術・機器などの開発状況
【4】 兵庫県における必要性などをとりまとめました。

その後、1992年(平成4年)には、陽子を主体に炭素を加えた粒子線治療に拡大した調査・研究を行い、1994年(平成6年)に兵庫県立粒子線治療センター(仮称)を播磨科学公園都市に設置し、大型放射光施設(SPring−8)の医学利用と連携した最高の研究機能をもつ治療施設とする計画が立案されました。

一方、科学技術庁が1991年(平成3年)の暮、播磨科学公園都市に大型放射光施設(SPring−8)の建設に着手し、本年1997年(平成9年)の秋には、その供用が開始されることとなっており、医学を含む様々な分野の科学技術の発展が大きく期待されています。

県立粒子線治療センター(仮称)の完成は2000年(平成12年)を予定していますが、両施設を核とする国際的な情報発信基地の整備など、21世紀を展望した壮大な計画が進行しています。
夢と困難を背負った県立粒子線治療センター(仮称)が最小限の目的を果たすには、県内・関西はもとより西日本全体の学際的な英知と医学・医療機関からの運営・管理に関するご支援が必須であります。

県立粒子線治療センター(仮称)の建設へ向け、あらゆる情報を発信・交流するメディアの1つとして「ニュースレター」がその役目を担っていただくことを期待しています。
兵庫県立成人病センター名誉院長
木 村 修 治
1


県立粒子線治療センター(仮称)の整備について

 平成8年度は、県立粒子線治療センター(仮称)建設委員会及び同専門部会のもとに、照射治療装置の詳細設計及び製作発注を行うとともに、建屋設計を進めてきました。
前号(平成8年11月)で、県立粒子線治療センター(仮称)の整備についてお知らせしましたが、建屋の基本設計をほぼ終了しましたので、その概要をお知らせします。

県立粒子線治療センター(仮称)の整備計画

1.特徴

(1) 放射線科の医療機関
入院又は通院により粒子線治療を行う放射線科の医療機関とする。

(2) 陽子線治療及び重粒子線治療の実施
【1】 陽子線については、既に実用段階にあることから、供用開始後ただちに頭頚部がんや肺がん、肝がん等の臨床治療を開始する。
【2】 重粒子線(炭素)については、当面、臨床研究から開始し、放射線医学総合研究 所における臨床試行の成果も踏まえ、臨床治療に移行する。

(3) 県立成人病センター等との機能連携
【1】 がん患者に最適な治療法を提供するため、がん治療に対する総合的な機能を有する県立成人病センター及び同様の機能を有する各地の大学病院やがんセンター等での検査・診断、治療方針の決定、経過観察や集学的治療との連携を図り、粒子線治療適応患者に対して入院又は通院により粒子線治療を行う。

【2】 そのため、県立成人病センターや各地の大学病院、がんセンター等と連携を図り患者紹介のためのネットワークを構築する。
(4) 大型放射光施設(SPring−8)の医学利用との連携
県立粒子線治療センター(仮称)を建設する播磨科学公園都市では、平成9年度の供用開始を目指して世界最大の大型放射光施設(SPring−8)の建設が進められており、今後、がんの診断など医学分野への応用開発が進めば、県立粒子線治療センター(仮称)との連携により、世界的にも画期的なより微細ながんの早期発見と治療が実現することが期待される。
2

2.施設の概要


放射線管理上特殊構造を有する照射治療を行う建物(照射治療棟)と入院その他治療支援機能を有する建物(病院棟)を隣接して一体的に整備する。

(1) 建設地 : 揖保郡新宮町上莇原字一ノ谷1014−17
(SPring−8北東側の研究開発・産業用地5.5ha)
(2) 施設内容 : 照射治療棟(RC4F) 12,000u
〔加速器室、加速器制御室、照射治療室等〕
製作仕様
【1】 ビーム種 : 陽子、ヘリウム(開発照射用)、炭素
【2】 ビームエネルギー : 陽子70〜230 Mev(体内飛程 30p)
炭素70〜320 Mev(体内飛程 20p)
【3】 照射室 : 6室
┌─
│  回転ガントリー2室、水平・垂直1室
│  斜め45°1室、水平1室、開発照射1室
└─
病 院 棟(RC2F) 4,500u
〔病室(50床)、診察室、検査室、食堂等〕
(3) 事業計画
【1】 事業費 : 約290億円
【2】 治療人員 : 年間 1,200人
【3】 スケジュール
区分 H7 H8 H9 H10 H11 H12
照射治療装置 基本設計 詳細設計 作成機能 現地搬入据付 ビーム調整
照射治療棟   基本設計 実施設計 建  築
病院棟   基本設計   実施設計 建  築

3.他の医療機関との連携について

(1) 治療基準の作成
県立粒子線治療センター(仮称)は他の医療機関でがんであるとの診断を受けた患者の受入れを図るため、粒子線治療適応の治療基準を作成し、患者の受入れを図ります。

・ 陽子線治療は、従来の放射線治療の延長線上の治療であることから、適応可能性のある場合には治療出来るような治療基準を作成する。
・ 重粒子線治療については、当面、放医研やGSI(ドイツ:重粒子研究所)とも連携しつつ、特定の疾患に限定した治療基準を作成する。
・ 県立成人病センターの専門医が中心となって、高い治療効果が期待される頭頚部や脳、肺、肝の各部位ごとに原案を作成し、平成10年度以降、部位別治療チームを設置し、他施設での症例検討等を踏まえ、治療基準を決定する。(その後、順次、食道や前立腺等の部位にも拡大していく。)

(2) 粒子線治療利用者会議(仮称)の設置
近畿・中四国の主要な医療機関に呼びかけて、粒子線治療利用者会議(仮称)を設置し、患者受入れのネットワークをつくることとしており、今後のご協力をお願いします。

3



県立粒子線治療センター(仮称)完成予想図

県立粒子線治療センター(仮称)完成予想図
4


粒子線治療装置イメージパース

粒子線治療装置イメージパース
5

トピックニュース

♪ 県立粒子線治療センター(仮称)建設委員会開催される ♪

 県立粒子線治療センター(仮称)整備について、意見をいただくため平成9年3月12日兵庫県公館において県 立粒子線治療センター(仮称)建設委員会(委員長 木村 修治県立成人病センター名誉院長)が開催されました。
会議では、整備計画の説明の後、各委員より今後の取組みについての提言や兵庫県の計画に対する期待が述べられました。

委員名簿
阿部 光幸(国立京都病院長)、
井上 俊彦(大阪大学医学部教授)、
宇山 親雄(国立循環器病センター研究所放射線医学部長)、
木村 修治(兵庫県立成人病センター名誉院長)、
行天 良雄(医事評論家)、河野 通雄(神戸大学医学部教授)、
小山 秀 夫(国立医療・病院管理研究所医療経済研究部長)、
末舛 惠一(国立がんセンター名誉総長)、
辻井 博彦(放射線医学総合研究所重粒子治療センター治療・診断部長)
寺澤 倫孝(姫路工業大学高度産業科学技術研究所長)、
中村 尚司(東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター教授)、
平尾 泰男(科学技術庁放射線医学総合研究所長)、
森田 皓三(愛知県がんセンター病院長)、
井戸 敏三(兵庫県副知事)津田 貞之(公営企業管理者)、
川村 隆(保健部長)、安井 博和(県立成人病センター院長)
6

♪♪ 播磨科学公園都市はドイツの森に似ている ♪♪

 平成9年2月24日、ハイデルベルグ大学のがん研究センターの医師であるデーブス(Debus)博士が兵庫県庁に来られました。
彼は33才と若いですが、物理学部を卒業後、医学部を出た優秀な放射線治療医でダルムスタットのドイツ重粒子研究所(G.S.I)で今秋より開始される炭素治療の医療側 の責任者です。

県立粒子線治療センター(仮称)建設予定地とSPring−8の見学のため、播磨科学公園都市へ案内しました。相生駅から播磨科学公園都市への車中からの彼の感想は、非常にドイツに良く似た雰囲気の環境であるとのことで、とても気にいったようです。ドイツ人の感覚では播磨科学公園都市は都市部から特別に遠方であるという感じではないようで、世界一の放射光での最先端技術を行うSPring−8の物理スタッフが近隣にいるということは、粒子線治療センター(仮称)にとって非常に有利であることを強調されました。また、県立粒子線治療センター(仮称)は陽子と炭素の治療の双方を一施設で出来ることを非常にうらやましがっていました。

費用についての議論もしました。通常の放射線治療の費用がドイツでは、30〜40万円とのことですが、この点、日本の現状と同様です。米国では陽子線治療が1人600万円ですが、G.S.Iではこれだけ取るのはとても無理で200万円程度になるだろうとのことです。
G.S.Iでは、この秋から炭素治療を始めますが、基本的に放医研のプロトコールを参考にして治療研究を行うこととしており、将来、兵庫県と共同治療研究を行いたいという提案がありました。

炭素治療の研究は世界で放医研を含め3ケ所しかなく、炭素治療に関する国際的な共同研究体制ができることは非常に意義あることと考えています。
6

♪♪♪ 播磨科学公園都市まちびらきフェスティバルの概要決まる ♪♪♪

 播磨科学公園都市は、既に整備されている姫路工業大学理学部、西播磨コンピュータ・カレッジ、先端科学技術支援センターなどに加え、平成9年度には、都市の中核施設である大型放射光施設(SPring−8)の供用開始、地区センターの開設など、第1工区の主要な施設が完成し、都市整備のひとつの区切りとなることから、「播磨科学公園都市まちびらきフェスティバル」が開催されることになった。
フェスティバルでは、都市全体を「科学技術のテーマパーク」と見立て、様々なイベントが展開される。

決定された概要は次のとおり

1.名 称 : 「播磨科学公園都市まちびらきフェスティバル」
2.テーマ : 「"光"が生み出す輝く未来」
SPring−8が放つ"光"に希望を託し、西播磨の自然と歴史と伝統の"光"が輝きを増し、光輝く未来が来ることを願う。
【サブテーマ】
科学が拓く未来のまち
人にやさしい
いきいきとしたまち世界に開かれたまち
3.会 期 : 平成9年8月1日〜10月末
4.開催場所 : 播磨科学公園都市(協賛イベント会場)
5.主 催 : 兵 庫 県
西播磨市町長会
日本原子力研究所・理化学研究所大型放射光施設計画推進共同チーム
6.イベント構成
(1) 西播磨地域の連帯と交流の促進を図るイベント(10イベント)
新・播磨の国づくりフォーラム
光の都 サマーフェスティバル
播磨スタンプテーリング ほか
(2) 青少年に対する科学技術の啓発を図るイベント(6イベント)
日本宇宙少年団国際ジャンボリー
サイエンス・アミューズメント館「はりま・夢サイエンス館」
地区センター・PR館 ほか
(3) 播磨科学公園都市をアピールするイベント(13イベント)
まちびらき記念式典
SRI'97(第6回放射光装置技術国際会議)
マルチメディア体験コーナー ほか

(計  29イベント)

7 

兵庫県立粒子線医療センター