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兵庫県立粒子線治療センター

ニュースレター
No.12
December 2000


CONTENTS

■□受け入れ体制整備
  生物照射試験が始まりました。
  照射系側ビーム試験開始
  医療情報システム導入に向けて
■□整備状況報告
  
  科学技術庁の放射線施設検査に合格
  
  病院棟の竣工間近
■□資料編
  放射線医学総合研究所の治療成績
  
播磨科学公園都市マップ
■□お知らせ
  
  現地だより
  現地見学者の状況
  人事異動の状況

兵庫県県民生活部県立病院局経営課

(県立粒子線治療センター整備室)


生物照射試験が始まりました!!

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
主査(診療準備担当) 香 川 一 史 

 粒子線治療では、通常の放射線治療と違って、限られた体積に高密度でエネルギーが与えられます。
そのため、測定上、通常のライナックX線治療と同じ量の放射線を照射しても、人体に対しては陽子線で最大1.15倍、炭素線で最大3.0倍も強力な反応が起こります。
この差が通常の放射線治療では得られない治療効果を生み出すもとになります。
兵庫県の粒子線治療装置でも、多くの理論と経験に基づいて、粒子線の強力な生物効果を計算に入れた設計がなされています。
しかし、理論通りの生物効果が得られることの確認のためには、実際に生物を使って照射試験を行う必要があります。
このため、平成11年10月より、重粒子線治療の先輩である放射線医学総合研究所の生物研究者の先生方のご指導を仰ぎながら、生物照射試験の準備を進めてきました。
何をどこまで調べれば、粒子線を人体に当てても良いとするのか、世界的に見ても明確な決まりはないため、手探りの作業になりましたが、放射線医学総合研究所の生物部門リーダーの安藤興一室長以下、古澤佳也主任研究官、野島久美恵主任研究官ら多くの先生方の熱心なご指導により、1年間をかけて兵庫県に適した測定の項目と手順を確定することができました。
マウス(生物照射試験用) 生物照射試験のようす
本年9月下旬に本県粒子線治療装置の基本的な設定が完成したのを受けて、当初の予定通り10月2日より、生物照射試験を開始しました。当センターの粒子線治療装置で最初に「治療」を受けたのは、生後10週のマウス80匹でした。照射は、患者治療に模して線量のピーク部分の厚さを6 cmに拡大した190メガボルトの陽子線を使って行われました。 記念すべき最初の生物照射のビームのスイッチを押したのは、物理担当の赤城主任でした。引き続き、10月10日には唾液腺がん培養細胞に対する陽子線の照射試験も開始しました。10月30日からは生物効果の強力な炭素線による生物照射試験も開始し、11月初めまでに陽子、炭素の両方について、マウス80匹と唾液腺がん培養細胞に対する照射試験を1回ずつ終了しています。
現在は1回目の試験結果の解析を行いながら、引き続き生物照射試験を行っている状態で、12月末までに細胞生存率、細胞の空間生物線量分布、マウス腸粘膜反応、マウス皮膚反応の4項目について、必要なデータを取得していく予定です。
 照射中の粒子線治療装置の状態は、極めて安定しており、「これならば患者さんにも使えそうだ。」と実感できました。今後、装置の設計確認とともに、照射線量と生物効果の関係をいろいろな条件について明らかにし、早く患者さんに安全で有効な治療を提供できるように、準備を進めたいと考えています。

照射系側ビーム試験開始

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
主任(装置担当)   赤 城  卓   

平成12年9月に科学技術庁の放射線施設検査に合格したことに伴い、照射系側のビーム試験が本格化しました。

ビーム試験は、大きく2つに分けられます。1つは治療を安全に行うためにビームの制御を行うための試験であり、もう1つは患者を治療するビームを作る(照射野形成)ための試験です。ここでは、後者の試験内容について説明します。

シンクロトロン加速器から出てくるビームは極めて細く、直径2~4mmぐらいの広がりしかありません。また、粒子線は体内で止まる寸前に高い線量を落とす(ブラッグピークと呼ぶ)特徴を持っているため、加速器から出てきたビームをそのまま使用することはできません。患者の体内のある一点に線量が集中することになるからです。患者の腫瘍を満遍なく照射するためにはビームを3次元的に広く一様にする必要があります。

本施設では広く一様なビームを形成するために、ワブラー電磁石、散乱体、リッジフィルターを使用しています。ワブラー電磁石と散乱体はビームをビーム方向に対して横の方向に広げることができます。ワブラー電磁石電流値と散乱体厚の組合せは無限であるため、その中から患者を治療するのに適切な組合せを決定しなければなりません。それをビーム試験により検証します。

リッジフィルターは、加速器から出てくる単色のビームエネルギーを分散させ、ブラッグピークを体内で広げる(拡大ブラッグピークと呼ばれる)働きをする、山型(リッジ)を持ったアルミの板をたくさん並べたものです。リッジの形を微妙に調節することにより、拡大ブラッグピークの形を変えることができます。下のグラフは、一連のビーム試験からリッジフィルターを設計・製作し得られた陽子線190MeVと炭素線320MeVの拡大ブラッグピーク(SOBP)です。生物的線量(線量に対する生物反応を考慮したもの)が平坦になるように作ります。陽子線は、生物的線量が物理的線量(線量そのもの)に等しいため、SOBPの領域は平坦になります。一方炭素線の場合は深さによって生物反応が異なるため、深さによって線量が変化します。生物反応を考慮するとSOBPの領域で生物的線量が平坦になります。
来年の臨床試験(治験)開始までに、ほとんどの患者さんに対応できるような照射野を形成できるよう、準備を進めていきます。

陽子腺190MeVSOBP 炭素腺320MeVSOBP

医療情報システム導入に向けて

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
主査(診療準備担当) 井 田 亮 二

【県立病院ではじめて】
粒子線治療センターは、兵庫県の県立病院で初めて医療情報システムを導入する。顧客情報を紙で管理している企業は一般社会では皆無である。医療行為、運用が多岐に渡ること、医療の進行が医師の判断によっていること、システムの導入は初期費用が大きくすぐにコストに反映されないこと、運用切り替え時に診療をストップできないこと、これらが医療界で情報システムが浸透しないゆえんである。特に大病院ではこの傾向が強い。医療が専門化している中、大病院では、風邪から特殊疾患まで広く範疇としているので無理もない。一方、当センターは、放射線治療のみを行うため、専門医療機関であり医療行為を画一化しやすく、ベッド数も50床と小規模であり、また、新規の施設であるため、システムを構築するには非常に都合がよい。
 
 コンピュータを使用することの利点は、検索が早いこと、同時に複数箇所で同じものを参照できること、統計解析処理が早いこと、品質が劣化しないこと、紛失がないこと等があげられる。逆に持ち歩きできないこと、入力に時間を要すること、紙の添付書類を保存できないこと、容易にシステムを変更できないことなど克服しなければならないことも多い。紹介元病院で粒子線適応患者であろうと判断されるまでには多くの医療行為が行われその情報は当センターで引き継がれなければ連携とはいえない。また、治療の結果情報を紹介元にデータとして返し、確実にフォローを継続して予後を追跡し成績を解析する。その結果を次の患者にフィードバックしなければ、当センターは粒子線照射センターでしかないのである。また、この医療情報システムを成功させなければ、他の県立病院へネットワークの拡大も図れなく、医療ネットワーク、専門病院化も遠のいてしまう。ITの先端に捕らわれることなく、確実に実際に使えるものを構築したいと思っている。
 当センターと横河電機が協力して医療情報システムを構築する。横河電機は画像系に強くRISでの実績を多くもつ、電子カルテの部分は、ソフトウェアサービスと横河電機がマルチベンダで構築する。
 
【概要】
本県粒子線治療センターは陽子線と炭素線の両方を照射できる施設としては世界で初めてであり、その使い分けを提示していくことは責務であり、このため、治療成績を評価できるシステムである必要がある。また、臨床レベルで数多くの患者さんを治療していくため、来院からフォローアップまでをシステム化し、業務の中で治療データが自動的に蓄積されることが必要である。(別図参照
粒子線治療センターのシステムは、
1.ビームを照射する粒子線治療システム
2.治療計画立案、管理する治療情報管理システム
3.医療情報システム
に分けられる。
 医療情報システムの流れを以下に示す。
  【1】 他院より患者が紹介され診察、臨床検査、看護などの文字情報を付加。
【2】 治療計画に用いるCT、MR等の検査が行われ画像情報を付加。
 【3】 上記【1】,【2】を用いて治療計画を行い粒子線治療装置を制御する数値情報を決定する。
 【4】 上記【1】,【2】,【3】で得られた情報を粒子線治療システムに送信し治療を行う。
構築中の粒子線治療システムには、治療イオンの入射系、加速系、輸送系、照射系、治療機器の制御系、放射線安全管理、建屋の安全管理と、巨大なネットワークが広がっている。粒子線治療システムは、治療情報をファイル【1】【2】【3】で扱い、多くの機器を制御しているためマニュアル操作による運用ができないシステムになっている。           

【5】 治療後の実施記録を、治療情報管理システムで管理。
【6】 実施記録は、医事課、カルテ、病歴統計システム等に記録。
【7】 このデータから紹介元への治療結果報告書、退院サマリーを作成。
【8】 追跡調査を定期的に行い治療成績の解析、統計を用いて患者へのインフォームドコンセントや今後の治療方針に反映。
  治療情報とは、【1】患者基本情報(文字)であり医療情報システムから得られるもの、【2】位置決め情報(画像)であり放射線診断画像から得られるもの、【3】治療計画情報(数値)であり治療計画装置から得られるもの、これらを治療情報管理システムで結合し粒子線治療システムを制御している。すなわち「粒子線治療装置」はファイル化された情報のみで運用できるシステムであり、治療計画情報と実施記録、診療記録が付加されデータベース化される。これにより治療成績の評価を行うことが可能になる。
 医療情報システムは、患者の依頼情報を他院から受け、治療と診療を結合させ、治療の結果情報を返し追跡調査、治療成績評価の支援を行うシステムである。
 【進捗状況】
医療情報システムは、13の部門システムで構成される。RIS、治療カルテ、病歴統計については、会議を重ねる毎に具体化されほぼ形は見えてきた。RISでは、各モダリティに加え治療計画データの統計も行う。看護、クリティカルパス、電子カルテは実際に運用時点まで改良が継続されるのは避けられないであろう。また、そうでなければ使い良いものにならない。医事課システムでは、診療報酬が治験、自由診療、高度先進医療、保険医療と変化することを予想し、これに対応できるものとした。
当センタースタッフには、現在、薬剤師、臨床検査技師、医事課職員、栄養士が不在であり、成人病センターで専門的な部分の支援を頂いている。現在スタッフが県庁整備室、粒子線治療センター現地、成人病センターに分かれているため、意志の疎通がままならない、また、スタッフ数も少ない状況である。今後部門システム間の連携を構築するときに、障害にならないようにしなければならない。 
 今回、医療情報システムを担当してまだ見ぬ姿に期待と不安でいっぱいである。それは、施設立地条件が交通に不便なところにあり情報は電子的に送受信されるだろうということ、その専門性から他に代替えの施設がないこと、などから生まれる。“粒子線治療装置は稼働するがシステムが動かない”、“使い勝手が悪い”、 “データが消えてしまった”いろんな状況が浮かんでくる。急がねばもうすぐ平成13年度がやってくるが、しっかりと、着実に準備を進めたいものである。

科学技術庁の放射線施設検査に合格

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
主査(診療準備担当) 須 賀 大 作

 平成12年9月22日、兵庫県粒子線治療装置に対する「使用許可証」が交付された。
平成11年7月に科学技術庁(科技庁)でヒアリングを受けて以来、1年2ヶ月の期間を経て、ようやく許可証を得るに至った。
この間、4回の「顧問会ヒアリング」を受けながら併行して、第1次申請のイオン源−線形加速器と、第2次申請のシンクロトロン−治療室のそれぞれで、施設検査と漏洩線量の検査を受けた。
検査は原子力安全技術センターにより評価をしていただいた。この検査をパスしたことにより、我々の安全管理システムが信頼できるものと確信できた。

施設検査は、週間線量管理システム、インターロック機能、設計と建物が合致しているかについて重点的に行われる。
施設検査に合格すると、「調整許可」が発行され、この許可のもとに初めてビーム調整作業に取りかかることができる。
特に第1次申請から第2次申請の期間を短縮させるためには、第1次の線形加速器ビーム調整をす早く実施して漏洩線量検査を受検しなければならない。装置の調整と申請作業が遅滞なく、予定通りに運ばれると想定した上でのスケジュールであるため、装置メーカーにも申請者である兵庫県にも緊張感が張りつめていた。許可証までの経過を振り返ってみたい。

施設検査と漏洩線量検査が実施された日
程を表1に示す。
表1
  施設検査日 漏洩線量検査日
第1次申請 H11/11/11 H12/2/10
第2次申請 H12/3/6-7 H12/7/26-27

検査前には兵庫県、装置製作を請負っている三菱電機で総合試験を実施した。
事前に指摘された事項は確認したが、やはり総合試験の中で明らかになる点もあり、問題点と対応策を表2に示す。
表2
  問題点 解決策
週間線量管理評価での疑似線量 疑似線量を発生させるジェネレータを準備する。
インタロックキーの動作不良 再調整をして検査に備えた。
工作室漏洩線量について プラグ方式の変更と鉄材による追加遮へい。
垂直・45度ビームラインに関する高所での測定 20mの建屋屋上および壁面中央を測定する際に、高所作業者に測定を依頼して実施。

問題点1については、週間線量を超過して初めてインターロックが作動する事がわかり、インターロック制限値を線量情報を送信する規定量の1回分だけ少なく設定する事により、制限値を超過しない仕組みとした。この問題は、事前検査で修正することができず再検査となった。

なお、本施設での使用時間は以下の式で制限される。
1週間の使用制限値(μA・hr/week)
=Ip×Tp+IHe×THe+Ic×Tc
I:ビーム損失対応電流
p:He:cは陽子、ヘリウム、炭素を示す。
T:時間

問題点2では、遮へい扉キーで開閉を実施した場合、入室未登録の状態でキーを抜くことができない機能を有していると申請したが、実際には入室未登録でもキーが引き抜けてしまう事が事前検査で判明した。再調整を実施し、申請通りに機能することを確認して検査に備えた。線形加速器の漏洩線量検査では、施設検査でのインターロック試験で実施できなかったビーム出射中の緊急遮断試験も併せて追加された。遮へい扉キーを使用して開閉を行う扉は、線形加速器とシンクロトロン室への出入り口の2カ所である。
新たにクランク構造とした鉄鋼プラグ
問題点3は、B室:水平垂直治療室から工作室へ至る壁に、装置アライメント用の15cm直径の視準口が設けられている。これは、地震等により装置の水平レベルが変化した場合に、視準口を開けて装置をアライメントするために使用する開口部である。普段は閉の状態にあり、鋼製のプラグを用いて封鎖しているが、この部分からの漏洩線量が計測されたため、プラグの変更と鉄板20cmの追加遮へいを施した。

出射部に追加した20cm鉄板

高さ20m以上での高所測定作業
題点4は、垂直・45度ビームライン部分の建物外壁、及び屋根の測定を指示されたが、高所での作業は危険を伴うことから、高所作業者の方を手配し、測定器取扱を教育、及び指示した上で環境測定を実施した。計測中の状態を写真で示す。
測定ポイントは、偏向電磁石でビーム方向を曲げられなかった場合のビームが直進する屋根の位置での線量を測定した。
第1回目の科技庁ヒアリングでの厳しい指導から始まり、4回にわたる顧問会による審査を受けた。振り返って見ると、あの時にこう対応すればスマートであったと後悔しきりであるが、前例のない装置を申請していく作業が、とん挫あるいは大幅なスケジュールの遅滞を招かずに終えたことは、放射線医学総合研究所の指導、三菱電機担当者の協力の賜物と考える。今後、出力線量を2Gy/minから5Gy/minへ変更すること、また、平成13年4月に予定されている法改正に従った見直し等、変更申請作業を行っていく予定である。

病院棟の竣工間近

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
事務吏員(整備担当) 寺 元 直 樹

 昨年9月に着工した病院棟の竣工が間近に迫っています。このほど完成するのは、「機能一点張りではないぬくもりのある空間」をコンセプトに設計された病院棟です。

昨年7月に竣工した加速器室・照射治療室・工作室等からなる照射治療棟は、延床面積も約12,000uと広く、また、放射線防護の面から特殊な構造も多いため、約2年の歳月をかけて建築されましたが、50床の病室・診察室・事務室・検査室・薬剤室・食堂等からなる病院棟は、延床面積が約4,500u、RC2Fと照射治療棟に比べて小規模な建物であるため、1年余りで完成を迎えます。

このため、竣工間近という事を聞いても、ついこの間まで基礎工事をやっていたような気がしますし、「あっという間にできた。」というのが率直な感想です。実際、工期は1年3ヶ月となっていますが、工程でみても出来高が50%になるまでに11ヶ月もかかっているのに、最後の4ヶ月ほどで残りの50%を建築しているため、余計にそのように感じるのかもしれません。
病院棟 A棟B棟間ロータリー部 病院棟 A棟芝解体状況
 ここ数ヶ月の工事の進捗状況にはめまぐるしいものがありました。毎日現場を見ていたわけではないのですが、たまに行くたびに工事の状況が進展し、こんなに変わったのかと驚かされていました。また、照射治療棟へ向かう泥だらけの工事中の道を通るたびに、この道もすぐに舗装され、工事も終わるんだなとしみじみと思ったりもしました。

建築工事自体はほぼ完了し、最後の内装等のつめの作業を行っています。また、外構工事はこれからが本格化ということで現在はまだイメージパースのような緑あふれる景観とまではいきませんが、建物自体は病院としての形態を整えてきたように感じます。
これから先は外構が整備され、各種の検査を経て病院としての体裁が整うことになります。すべての工事が完了した姿を想像すると、建物の引き渡しを受ける日が楽しみです。

病院棟の竣工、引き渡しを終えると、県立粒子線治療センター(仮称)の整備もいよいよ最終段階です。今後は内部の備品等の整備を進め、順調に来年春の臨床試験(治験)を迎えられるようにラストスパートをかけたいと思います。

(資料)放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療臨床試行状況

放射線医学総合研究所では、平成6年6月から「重粒子線がん治療臨床試行」を開始し、平成12年8月までの6年3か月の間に829例の患者さんが登録されました。これまでに登録された829例(850腫瘍)のプロトコール別・照射期別患者数は次表のとおりです。
重粒子線治療患者数(平成6年6月〜平成12年8月)
(単位:名)
部 位 第1期 第2期 第3期 第4期 第5期 第6期 第7期 第8期 第9期 第10期 第11期 第12期 第13期 合計
頭頸部 3 4 5 5                     17
中枢神経   6 4 4 1 9 4 2 2 7 3 4 8 54
肺腫瘍   6 7 4 11+1 16 4 2 4         54+1
舌癌   2                       2
肝細胞癌     5 7 6 7+1               25+1
前立腺癌     2 7 8 10 5 3           35
子宮頸癌     3 6 3 10 5 4           31
総合研究     8 16 7 9+1 15 15 8 9+2 16+1 16+2 6+1 125+7
骨・軟部         2 7 6 7+1 10+2 9+4 9 9   59+7
食道術前           1 2 3 1         7
食道根治             3 8 1 2       14
頭頸部II         8 11               19
頭蓋底             3 3 1 3   2 2 14
頭頸部II             17 14 10+1 12 15 23 10 101+1
肝細胞癌II             7 12 15 10+2 9+1 8 7 68+3
肺腫瘍II               11 11 13       35
子宮頸癌II               2 3 2 6 2   15
前立腺癌II               2 16 14 9 21    62
子宮腺癌                 2 3 1 2 1 9
肺II                     2 4 1 7
肺IV                     12 15+1 15 42+1
骨・軟部II                         10 10
子宮頸癌II                         5 5
肺V                         5 5
前立腺癌II                         11 11
食道術後                         1 1
膵癌                         2 2
合計 3 18 34 49 46+1 80+2 71 88+1 84+3 84+8 82+2 106+3 84+1 829+21
注:+は同一患者の2病巣治療。従って総治療数は「850」
第1期: 平成 6年6月〜8月 第2期: 平成 6年9月〜平成 7年2月
第3期: 平成 7年4月〜8月 第4期: 平成 7年9月〜平成 8年2月
第5期: 平成 8年4月〜8月 第6期: 平成 8年9月〜平成 9年2月
第7期: 平成 9年4月〜8月 第8期: 平成 9年9月〜平成10年2月
第9期: 平成10年4月〜8月 第10期: 平成10年9月〜平成11年2月
第11期: 平成11年4月〜8月 第12期: 平成11年9月〜平成12年2月
第13期: 平成12年4月〜8月 (放医研ホームページより)

現地だより 

県立病院局経営課(県立粒子線治療センター整備室)   
   寺 本  美 和 子

 現在建設中の粒子線治療センターのある播磨科学公園都市は、主に、上郡町、新宮町、三日月町の3町にまたがり、四方が山に囲まれた自然豊かなところに位置しています。春にはチューリップ、夏は蝉の合唱が、秋には山の紅葉が、冬には雪が舞い、澄んだ夜空に星が輝いています。このように、春夏秋冬の季節の移り変わりが、目と肌で感じられる緑豊かなところです。都会から来られた方は「ここは何もないところですね。」とよくおっしゃいますが、逆に、都会ではなかなか味わうことの出来ない自然を満喫することができます。

ところで、この様な自然溢れる都市内に、粒子線治療センターが間もなく完成します。現在、現地の事務所には、医学博士1名、理学博士3名、放射線技師5名、事務1名の計10名が駐在しており、オープンに向けて着々と準備を進めています。忙しいというのもありますが、職場のみなさんは「仕事熱心」の一言。冗談を言い合いながらも仕事、お昼の時間も仕事の話・・。

でもある時ふとしたきっかけで『ゴルフ』の話が出ました。これが意外(!?)にゴルフをやってる方が多くて、「じゃあ1度みんなで行こう!」ということにトントン拍子に話が進み、さっそく休日を利用してコンペを楽しむ事となりました。名付けて「第1回粒子線コンペ」(そのままの名前ですが)。当日はうれしさのあまりか、予定時刻より早めに集まり、ゴルフ場へと車を走らせました。そしていよいよラウンド開始!と思いきや、まだまだ時間が早かった・・焦りからでしょうか、こんな時って時間が経つのが遅く感じます。今日がゴルフデビューの人、何年振りかでコースへ出る人と、みんなさんそれぞれで、もちろん腕前もそれぞれ。今回はチーム対抗で行われたので結束が大切です。前半は自分のプレーに必死でしたが、後半になると余裕が出てきたのか、お互いを助け合い、ナイスプレイが出ると自分の事のように喜んだりで、結構真剣にプレーしていました。あーだこーだと言いながら、途中雨にも遭いましたが、無事に終了!勝負の後は・・「ごちそうさまでした。美味しかったで〜す。夕食をおごってもらいました。」

次回も予定されています。敗者チームのリベンジになるか、それとも前回よりももっと美味しいディナーをご馳走になるか、当日のお楽しみってとこです。(今度もごちそうになれるよう、今から頑張らねば。)

普段職場では全く見られない、家での顔を垣間見ることが出来たし、すごく得した気分?

粒子線治療センターのオープンも近づいてきましたが、今回のゴルフどおりのチームプレーでその日をみなが笑顔で迎えられることを願って、サア今日も仕事仕事!ですよね。

現地施設見学者の状況

平成12年4月から11月末までの現地施設見学者の内、把握している人数は1,442名でした。
その内、主な見学者と内訳は以下のとおりです。
夏休みを利用したセミナー等、数百人規模の見学者もあり、大変にぎわいました。

4月14日 C.Streffer 前エッセン大学教授夫妻 2名  9月20日 北海道経済連合会 5名
5月20日 県立成人病センター 10名  9月26日 新宮町商工会 30名
5月26日 理化学研究所他 9名 10月26日 西播町議会女性議員 30名
6月 6日 洲本商工会議所工業部会 30名 10月31日 西播磨保健所放射線技師 8名
7月14日 ライナック研究会 200名 11月 6日 公明党青年議員団 20名
7月18日 京都大学 74名 11月10日 兵庫県立3大学留学生 40名
7月26日 玉岡 かおる氏他(TV取材) 5名 11月11日 県立成人病センター 19名
8月21・22日 サマーサイエンスセミナー(高校生) 617名 11月21日 電源研究会 23名

人事異動の状況

 平成12年7月から11月までの人事異動の状況は、以下のとおりです。

転  入

平成12年10月
・事務吏員(業務担当)   福政 慎次
((財)夢の架け橋記念事業協会より)
心機一転がんばりますので、よろしくお願いします。

兵庫県立粒子線医療センター